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デザイナー 声優 神姫解説 性格セリフ一覧 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 覚えるパッシブスキル一覧 神姫固有武器補正 神姫考察 総評・運用 神姫攻略法 お迎え方 アップデート履歴 コメント デザイナー スティンガー(SOUND VOLTEX) 声優 茅野愛衣(武部沙織/ガールズ パンツァー、暁切歌/戦姫絶唱シンフォギアシリーズ、ダクネス/この素晴らしい世界に祝福を!、菓彩あまね@キュアフィナーレ&ジェントルー/デリシャスパーティプリキュア、他) 神姫解説 SOUND VOLTEXのメインナビゲートシステム。明るく清楚・天然な性格で性別問わず良好な関係を築くことができる。最新バージョンであるNEMSYS Core 6.0により、快適な動作性・優れた機能拡張性を実現している。さらに特殊武奏「EXCEED GEAR」を纏うことにより、そのスペックを最大限に活かすことが可能に。 名称:ナビゲーター型レイシス(なびげーたーがた・れいしす) メーカー 素体:不明(神姫カードのメーカー欄には「SOUND VOLTEX」の表記あり) 武装:(同上) 型番:SVD601(神姫ハウス画面で確認できる。ボルテ第6作の1人目、という意味か) フィギュア発売:存在しない(誕生日は1月18日。初代「SOUND VOLTEX」の稼動開始日でもある) 主な武装:VORPAL EFFECT(双斬撃武器) SV-RA オプティカルHG SV-RA リアクティブアーマー SV-RA ヘキサアーム SV-RA アサルトブーツ 本作稼動2周年が近付いた2022/12/08になって唐突に公式Twitter上にて実装告知された、KONAMIの音楽ゲーム「SOUND VOLTEX」からのゲストキャラ。 HPでの発表は、Twitter上でのそれから2週間近くも空いた12/21になってからだった。 純然たる武装神姫とのコラボキャラとしてはツガルやお嬢様型MMSナギに続く3例目ながら、既に武装神姫そのものを含めたコナミ内製MMS規格フィギュアが作られなくなって久しい本作の時代的背景もあって、唯一可動フィギュア版を持たないキャラクターとなる。 衣装およびボイスは6作目にして最新作「EXCEED GEAR」準拠。ちなみに過去には「pop'n music」にも客演している。 彼女の参戦を記念して、神姫ハウスのオプション画面にBGM「INDEPENDENT SKY」が自動的に追加され、更に彼女を獲得する事でBGM「VALKYRIE ASSAULT」「Resonant Gear」を獲得する事が出来る。 どういう経緯で神姫サイズの存在になっているのかについては、公式より事前に言及が一切なかったため不明だったが、結局「レイシス本人をモチーフに作られた神姫」である事が明らかになった(神姫関節はイラスト上では見えにくいが、CGモデルにはちゃんとある) もちろんコナミ内製のフィギュアとして彼女が作られた訳ではない(おそらく今後もないだろう)が、さしずめMMS2nd系のカテゴリーに該当するだろうか。 稼動2周年を経てなお未実装の神姫達が数多く残る中での彼女の唐突な実装は、本作においては例の「CCJへのコンバート騒ぎ」による大幅減台のさなかでもあり、そもそもお迎え機会を得にくい状況となるであろう事がほぼ確定と相俟って、驚きと共に「それより先に実装すべき神姫がいるだろう」「ボンガに実装じゃなかったのか」といった困惑の声も少なからず寄せられた。 公式もその事を認識していたか、実装直後には年末12/31までという(本作としてはそこそこな長さの)ピックアップ期間が設けられていた。 + ちなみに「ボンバーガール」では… ちなみに「ボンバーガール」では、稼動初期から同作とのコラボで彼女の登場が告知されてはいたのだが、2023年1月現在未だに実装されていない。 これについては、パステルや藤崎詩織といった過去作のキャラ(実装時にはまだバトコンが稼動していなかったツガルもここに該当する)や、過去作をモチーフにしたキャラ(「魂斗羅」「究極戦隊ダダンダーン」等がこれにあたる)ではなく、あくまでも現行最新タイトルのキャラであるため、スナック感覚で脱衣絵を出しにくかったものと考えられる。グリムアロエは…まぁ… 一応、ボディ武装の名称が「リアクティブアーマー」である事に名残がみられる。 性格 ひらがなとカタカナが入り交じる口調は本作でも健在。向上心が高く、随時アップデートを欠かさない働き者だがおっちょこちょいな一面もあり、その意外性に癒されるユーザーも多いとか。 そうした事もあってか、本作ではボルテを筆頭にコナミ製音ゲーの宣伝に余念がない一方で、自らのサイズや慣れないジェムバトルにも楽しんで順応していく姿を見る事が出来る。 前述通り「レイシス本人をモチーフにした神姫」と本人は言うが、元ネタ側のキャラ(「つまぶき」や「烈風刀」など)の存在を言及してたりする一方で、同ジャンルであるはずのBEMANIに言及しておきながら同作出身のツガルとの絡みが一切ない等、その言動は存外ブレている。 レイシス本人が仮想世界のプログラムのような存在としばしば示唆されているため、そういう形で神姫のボディに宿っているという事なのかもしれない。 ちなみに公式HPの台詞は、当初オールベルンのものと同じになっていたが修正されている。 単なるコピペ疑惑か、それとも持ち前のおっちょこちょいなのか。 セリフ一覧 + ナビゲーターだってやれば出来るんデス! ログイン時 通常(朝) おはようございマス!朝からあえて嬉しいデス。がんばりまショウね。 おはようございマス。今日も一緒に、張り切って参りまショウ! 通常(昼) こんにチハ!お昼ご飯は済みまシタか?しっかり栄養を取って、元気にバトルしまショウ! こんにチハ!今日もたくさんバトルしまショウ! 通常(夕) おかえりなさいマセ!準備はばっちりデス!いつでもお呼びくだサイ! こんにチハ!今日は何をしマスか?どこまでもお付き合いしマス! 通常(夜) おかえりなさいマセ!バトル、頑張ってマスね!ワタシも一緒に頑張りマスよ! こんばンハ!晩御飯の時間デスね!良ければ一緒に、ボルテ軒へ行きまセンか?(※)ボルテ軒…元ネタの舞台・コンソール=ネメシスに店舗を構えるラーメン屋 通常(深夜) おかえりなさいマセ!ちょうどワタシも、ナビゲーターのお仕事が落ち着いたところデス。 こんばんはデス!今日1日、いい事がありまシタか?良ければワタシに教えてくだサイね! 年始 あけまシテ、おめでとうございマス。今年も、『武装神姫』と『SOUND VOLTEX』を、よろしくお願いしマス♪ バレンタイン ハッピーバレンタインデス!レフト(※)に教わって、頑張って作って見まシタ。お口に合うと嬉しいデス。(※)レフト…元ネタにおけるレイシスの同僚、嬬武器烈風刀(つまぶき・れふと)のこと ホワイトデー 今日はホワイトデー、デスか?…はわ、私にも!?ありがとうございマス! エイプリルフール ゴールデンウィーク 夏季 すっかり夏の空気デスねぇ~。熱中症などにお気をつけくだサイ! 水着キャンペ 七夕 ハロウィン はわぁ~~~!ハッピーハロウィンデス~!お菓子をくれないと、イタズラしちゃいマス! 冬季 はわぁ~…寒いデス。それでも、今日も会えて嬉しいデス。 クリスマス メリークリスマスデス♪プレゼントを用意したのデスが、受け取って…くれマスカ? 神姫の発売日 え?コレをワタシに?はわ〜嬉しいデス〜♪誕生日、覚えていてくれたんデスね!ありがとうございマス♪ オーナーの誕生日 お誕生日おめでとうございマス!ワタシも、自分の事のように嬉しいデス! 神姫ハウス 命名時 呼び方変更 (オーナー名)!呼び方を変更してみませんカ?ふふ、愛称で呼ぶと、仲良し度が上がった気がしマス♪ (→決定後) (オーナー名)デスね。確認いたしまシタ!これからもより一層、快適な生活をサポートいたしマス♪ レベルアップ後 MVP獲得 3連勝後 親密度Lv5後 そういえば(オーナー名)はワタシのコト詳しくご存知でショウか?ワタシは『SOUND VOLTEX』のナビゲートキャラクターをモチーフに設計された神姫なんデスよ♪ 親密度Lv10後 (オーナー名)は『SOUND VOLTEX』はご存知デスか?プレーしてくれていたらとても嬉しいデス…! 親密度Lv20後 はわわ…アナタ、ボルテをプレーしたことないのデスか?でしたら、ナビゲーターのワタシがご案内しマス!是非やりに行きまショウ!! 親密度Lv30後 はわわ、人がいっぱい並んでマス…!後ろに人がいるとプレーするのが恥ずかしい…デスか?でしたら、『おうちボルテ』はいかがデスか?おうちでゆっくりボルテができマス!勿論、ワタシがナビゲートしマスよ♪ 親密度Lv40後 では(オーナー名)。『SOUND VOLTEX』の遊び方を一緒にお勉強しまショウ♪ボルテは3つのアクションを駆使してプレーしマス… 親密度Lv50後 良い感じデス!はわ~、とってもお上手デス!この調子でいろんな曲にチャレンジしまショウ♪ 親密度Lv60後 さすが(オーナー名)、どんどんスキルレベルが上がっていきマス…!はわ、ついボルテに夢中になってしまいまシタ、ジェムバトルも疎かにはできまセン!こちらもワタシがナビゲートいたしマス、一緒に頑張りまショウ♪ 親密度Lv70後 はわぁ~…また負けてしまいまシタ…。全然勝てまセン…。どうすれば勝てるのかわからなくなってしまいそうデス…。 親密度Lv80後 (オーナー名)?ふむふむ、『SOUND VOLTEX』での経験を活かす…デスか?なるほど、わかりまシタ!ボルテのことなら誰にも負けまセン!… はわ…どう活かせば良いのでショウ…??? 親密度Lv90後 はわわ~!やりまシタ!連勝デス!!とっても嬉しいデス♪(オーナー名)の仰った通り、ボルテのような疾走感で勝利することが出来まシタ♪ 親密度Lv100後 はわ~(オーナー名)のおかげでジェムバトルに勝てるようになりまシタ!ふふふ、ここでは(オーナー名)がワタシのナビゲーターですネ!これからも末永く、宜しくお願いしマス…♪ 頭タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) はわ…(オーナー名)は撫でるのがお上手デス。いえ、(オーナー名)だから気持ちいいんデスね…たくさん撫でてくだサイ、(オーナー名)…♪ 胸タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) はわわ!本当は触っちゃいけないところデスよ!…本当は!ダメなんデス! 尻タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) はわわ!もうッ!いくら言っても聞いてくれないんデスね!ほ、他の神姫には絶対にしちゃダメですヨ! 通常会話 はわわ!このサイズなら巨大プリンにダイブできマス…! はわわ!バトルは怖いデスけど…ボルテの疾走感とは違って、走りまわる疾走感も素敵デス♪ (オーナー名)は音ゲーはお好きデスか?BEMANIシリーズはおうちでもプレーできるゲームが多いんデス! つまぶきはツマミの精なんデスよ♪ (オーナー名)はボルテの事どう思いマスか?(オーナー名)にもボルテの疾走感を体感して欲しいデス♪ 好きなコトデスか?もちろん、『SOUND VOLTEX』デス♪(オーナー名)も一緒にやりまショウ~! クリスマス限定 メリークリスマスデス♪プレゼント、ワタシも貰えるでしょうカ…?はわわ…!いい子だから大丈夫?嬉しいデス♪ 年始限定 新年あけまシテ!おめでとうございマス~♪今年もよろしくお願いしマスね♪はわ…!初詣デスか!?モチロン行きマス~!! 武装カスタム 戦闘力Up時 戦闘力Down時 武器LvUP時 素体カスタム 親密度LvUp時 限界突破時 出撃時 キャラ入れ替え バトル開始時 → バトル中 撃破時 コンテナ入手時 被弾時 オーバーヒート時 スキル発動時 (能力強化系) (HP回復系) (デバフ系) (攻撃スキル) (チャーミークリアボイス) 被撃破時 次出撃時 サイドモニター 応援時 交代時 被撃破時 バトル終了時 1位 → 2位 → 3位 → 4位 → カラフルコンダクト 快適なプレーをサポートしマス コンテナ獲得時 1位 2位以下 レイド終了時 成功 失敗 LvUP時 神姫親密度 マスターレベル 神姫ショップお迎え時 はじめまして!あなたを全力でサポートいたしマス! ゲームオーバー時 その他 + リセット開始 神姫の想い、大切に。 + 選択した神姫をリセットします。よろしいですか? リセット開始 はわ?リセット、デスか? はい を押す はぁ…至らなくて、ごめんなサイ。 はい を押す(二回目) 悲しいけど、考えが変わらないなら仕方ないデスね。今までありがとうございまシタ。さようなら。 リセット完了 初めまシテ、レイシスデス。これからよろしくお願いしマス。 リセット取消 はわ~!やっぱりまだ一緒にいたいデス!もうそんな事言わないでくだサイね? 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 マスター・アナタ・お兄サン 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 親密度Lv1 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - 親密度Lv100 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - マスクステータス 1/s ジェム回収展開速度 ブースト回復量 ダッシュ速度 ダッシュ時ブースト消費量 ジャンプ時ブースト消費量 対空時ブースト消費量 防御時ブースト消費量 N 1500 150 960 85 70 20 90 R 1050 105 90 40 110 SR 1140 125 110 60 130 UR 1230 145 130 80 150 覚えるパッシブスキル一覧 ナビゲートしマス!【レイシス専用】応援中に一定の確率で瀕死になった神姫の攻撃を当たりやすくする(射程延長、攻撃スピードアップ) スキル名説明 早熟型のパターンで覚えるパッシブスキル 攻撃力アップ[小]攻撃力を上げる ブースト最大値アップ[小]ブーストゲージの最大値を上げる よろけ軽減[小]よろけの行動不能時間が短くなる ため時間減少[小]ため時間を減少する ブーストアップ[小]ブースト時の移動スピードアップ 防御力アップ[小] *要限界突破(L110)防御力を上げる 攻撃力アップ[中] *要限界突破(L120)攻撃力を上げる 通常型のパターンで覚えるパッシブスキル ダッシュブースト消費量減少[小]ダッシュする際のブースト消費を減少する 攻撃力アップ[小]攻撃力を上げる クリティカル発生アップ[小]クリティカルが出る確率が上がる ブースト最大値アップ[小]ブーストゲージの最大値を上げる ため威力増加[小]ため攻撃の威力を上げる 体力最大値アップ[小] *要限界突破(L110)体力の最大値を上げる スピードアップ[中] *要限界突破(L120)移動する際のスピードアップ 晩成型のパターンで覚えるパッシブスキル ため威力増加[小]ため攻撃の威力を上げる ブースト最大値アップ[小]ブーストゲージの最大値を上げる 攻撃スピードアップ[小]攻撃時のスピードが上がる スピードアップ[小]移動する際のスピードアップ 全能力アップ[小]全ステータスがアップする クリティカル発生アップ[中] *要限界突破(L110)クリティカルが出る確率が上がる ブースト最大値アップ[中] *要限界突破(L120)ブーストゲージの最大値を上げる 神姫固有武器補正 ※レアリティが上がる毎に得意武器は-5%、苦手武器は+5%される。数字はレア度Nのもの。 得意武器 +40% 回復・補助・防具用武器 +30% 片手斬撃武器・双斬撃武器・双頭刃斬撃・双ライトガン 苦手武器 -30% 格闘打撃武器・両手打撃武器・肩持ちヘビーガン・腰持ちヘビーガン・下手持ちへビーガン 神姫考察 攻撃力 防御力 攻撃時に僅かなジェム自動回収の特性が付いている為かジェム防御及び近距離耐性と遠距離耐性がかなり低く設定されていた為、 ジェムを多く落とす上に打たれ弱いという性能であったが2023年7月12日のアップデートにより上方修正が行われた。 遠近両耐性については有志検証によると以前の10倍に跳ね上がったと言われている。 機動力 総評・運用 神姫攻略法 お迎え方 2022/12/22~から神姫ショップに登場 アップデート履歴 日時:2023.7.10 内容:ジェム攻撃力、ジェム防御力、近接耐性、射撃耐性を上方修正 コメント 誕生日は元のゲームの設定の1月18日にされているっぽい。 -- 名無しさん (2023-01-14 21 02 48) 名前 コメント
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出会い&登校2 アンジェラスの視点 遅刻にならないように、軽く走り続ける私達。 先頭はクリナーレがランニング気分で走っている。 あの子は何でも楽しむような思考回路してるから少し羨ましい。 それに比べて私はいつも気苦労ばかりで疲れる一方。 今日だってそうです。 いきなりシャドー=アンジェラスが出てきたり、いきなり遅刻になりそうになったり…。 いやいや、こんなネガティブな気持ちじゃ高校生気分を味わえません! 何事にも前向きに考えなければいけない! 私がそう決意した時、クリナーレがちょうど十字路に差し掛かった。 その時だ。 ドンッ! 「ウワッ!?」 「……むぎゅ」 クリナーレが誰かとぶつかりました。 あーもう、前方不注意ですよ。 「これで相手がパンを口に銜えていて、尻餅をついてドライがウッカリ相手のパンツを見てしまったら、まるでラブコメみたいね♪」 シャドーが何処かの漫画にでてきそうなシチュエーションを言う。 ていうか、そのシチュエーションは古くない? それにラブコメなのかなぁ? 更に言えば百合になっちゃうよ、クリナーレは女の子だし、相手の声からして女の子だし。 …今思えばなんで武装神姫には男性がいないのでしょうか? って、そんな事を考えてる場合じゃありません! 倒れた女の子を大丈夫かな! 「大丈夫ですか!?」 私は女の子に近づき喋る。 ぶつかってしまった女の子はクリナーレと同じ悪魔型ストラーフ。 白黒のブレザーを着ていて無表情。 「……痛かった」 そう言いながら立ち上がるストラーフ。 …あれ? 何処かで会った事があるような気がする。 「大丈夫ですか? アイゼン」 「そちらの方も、お怪我はありませんか?」 他の人も居たみたい。 犬型ハウリンと砲台型フォートブラッグでした。 彼女達は青色のブレザーを着ていてストラーフに対して心配そうに接する。 それに思い出しました、アイゼンは前にバトルした事がある神姫でした。 バトルは残念ながら途中で私は気を失ってしまい、気がついたら負けていました。 「あなたは確か…アンジェラスでしたっけ?」 「あ、え~と、サラ…ですよね。こんにちは。七瀬都さんの妹の神姫ですよね?」 「一応そうです。あなたとは少ししか会っていませんが」 砲子のサラ。 前回の企画でバトル参加した神姫。 あの時のバトルでは顔しか会わせていませんでしたが、サラは私の事を覚えてくれてたみたいです。 なんだか少し嬉しいです。 「ところでサラ、アイゼンと犬型ハウリンは誰ですか?初めて会うお方だと思うのですが」 私が視線を変えながら言うとサラは察してくれたのかニッコリ笑って答えてくれた。 「紹介します。こちらのストラーフはアイゼン、あとその犬型はそのまんま犬子ですね」 サラが私達に二人を紹介していく。 こちらも紹介した方がいいのかな? 「お願いします。正直ハルナから何も知らされていないのですよ。…まったく、ハルナもハルナです。いきなり都にわたしごと強制連行されて、その挙句がこんな状況ですし…帰ったらシュールストロミングの刑ですね」 「シュールストロミングの刑…ですか…。あ、では今度はこちらから紹介していきますね」 私は軽くクリナーレから順に紹介していった。 …。 ……。 ………。 そして最後のシャドー=アンジェラスの順番になって紹介に困った。 彼女あまりにも危険な存在。 どー皆に説明したらよいのでしょうか? 「アタシ自ら紹介するよ♪コッホン…どーもこんにちは♪♪アタシはもう一人のアンジェラス、シャドー=アンジェラスでーす♪アンジェラスという名前が二人いるからシャドーって呼んで」 バシン! 突如と響く拳を受け止める音。 シャドーの自己紹介中にアイゼンが左ストレートパンチをはなったのだ。 それを軽やかに受け止めるシャドー。 アイゼンの無表情が少しだけ変化し怒ってるように見える。 「お久しぶり~、アイゼンちゃん♪会えて嬉しいわ♪♪」 「……来るんじゃなかった」 場の空気が…険悪なムードなっていく。 このままでは駄目です。 折角の上機嫌のシャドーが不機嫌にでもなったらヤバイ。 この場に居る全員を惨殺しかねないですし、ここは私が張り込んで! 「あ~ん♪本当に可愛い♪♪抱きついちゃお♪♪♪」 「……むぎゅっ!?」 素早くアイゼンの後ろに回り込み抱き着くシャドー。 あ、あれ? 不機嫌にならない? というか…アイゼンに抱き着き、いい子いい子しながら頭を撫でています。 アイゼンも怒っていた表情から無表情になっています。 困った顔はしないのですね。 「アイゼン可愛いよアイゼン」 「……邪魔、……すごく邪魔……」 何処かで聞いた事があるセリフを言うシャドー。 とりあえず、ジャレついてるのなら大丈夫そうですね。 …アイゼンにはかなりお気の毒ですけど。 ごめんないさい、アイゼン。 「う~ん…」 「な、なんでしょうか?」 クリナーレが腕組しながら犬子さんを凝視する。 それに対して犬子さんはなにやら困り顔。 「ボクさぁ、前から思ってる事があるんだけどー」 「はい?」 「犬型と猫型はどうして尻尾を随時装備していないのかなぁ~と思うだよね」 そう言いながらクリナーレは犬子さんのスカートを捲くりあげる。 ちょっ、なにやっちゃってくれてるのよクリナーレ! 「ハワワワワッ!?」 いきなりスカートを捲り上げられた事によって犬子さんが驚愕する。 そりゃそうですよ。 誰だってあんな恥ずかしい事をされたらビックリしますよ。 ていうか止めなさい! 私がクリナーレを止めようとした瞬間。 「姉さんの馬鹿!」 「タワバッ!?」 クリナーレの妹、パルカが右踵落しをかました。 命中と同時にメリッという鈍い音が聞こえ、脳天を直撃した事によって地面に倒れ悶絶するクリナーレ。 それからパルカは踵落しをした後、捲くられたスカートを丁寧に戻し犬子さんに頭を下げる。 …たまに思うのだけれど、ときどきパルカの事が怖くなる。 いつもは怯えてるというか、ビクビクしてるけど非常時になる行動が大胆になりますね。 特に姉のクリナーレに対する行動が。 「パルカはあぁ見えてもヘタレのくせに度胸がありますから」 「…それ、矛盾してない?」 「それとお姉様、言いづらい事が一件あるのですが…」 「うん?何??」 「学校…遅刻しますわよ」 「…アアアアァァァァーーーー!?!?」 私が叫んだ事によって、皆が私を注目する。 私はすっかり忘れてた事をルーナに言われて思い出したのだ。 学校のことを…。 慌てて腕時計を見ると時刻は八時半過ぎになっていた。 「ヤバイ!みんな、談笑してる暇はないよ!!全速力で学校まで走りますよ!!!」 「因みに学校の方角はあっちよ♪」 私とシャドーが皆さんに伝えると一目散に学校へと走る。 「アイゼン、どっちが学校に先に着くかボクと勝負しろ!」 「……ん」 「ウッシャー!負けないぞ!!」 「……!!」 アイゼンとクリナーレは学校まで競走するみたい。 まったく、少しは遅刻の心配してよね。 「制服で走ると汗が出るからイヤですね」 「別に私は気にしませんけどね。…あぁ。そういえばハルナが気にしてましたっけ。夏場は胸が蒸れるとか」 ルーナとサラは仲良く喋りながら走る。 にしてもちょっと内容が生々しいよ。 汗とかさぁ…もっと女の子らしい会話をしてください。 「パルカさん、よろしくお願いいたします」 「あ、はい、パルカです!よろしくお願いします!!先程は姉さんが失礼な事をしてしまい申し訳ありません」 「いえいえ、気にしないでください。少し驚いたぐらいですから」 パルカと犬子さん達は普通に挨拶しながら走ってるから大丈夫でしょう。 うん、これが普通。 普通の会話だよね。 ルーナがおかしいのよ。 いきなり汗の話しをするなんておかしい。 サラに迷惑だと思わないのかな? 「迷惑だと思ってないんじゃないの♪」 空中を飛びながら私に言うシャドー。 本来なら筺体のプログラムによって飛べないはずなのですけれど、シャドーがプログラムを書き換えた事によって飛行を可能した、こんな所かな。 大方、シャドーの周辺だけ重力数値を変えて飛べるようにしたんでしょう。 ていうか、勝手に人の思考を読まないでよね! いくら同じ存在だからって、これではプライバシーもへったくれもない。 少しは自重しろって言いたい。 「飛んでるとパンツが見えるよ」 「見せたって減るもんじゃないしぃ♪アタシ達は素体なんだからパンツなんかはいてないじゃん、今はスカートをはいてるけど♪♪」 「羞恥心というものが無いの?」 「一応あるけど別にいいじゃん♪女の子達しかいないんだから♪♪」 「あーもう!私と同じ身体なんだから、私が恥ずかしいの!!ご主人様や他のオーナー達からも見られているのよ!!!」 「イィーじゃ♪マスターは見れて嬉しいし、他のオーナー達もアタシの魅力にメロメロ♪♪パンチラでポイントゲットよ♪♪♪」 「何がポイントゲットよ!ポイントなんか無いし!!と、とにかく降りなさい!!!でないと、無理矢理に私もネット能力を使って貴女を落としますよ!!!!」 「お~怖い怖い♪そういえば『私』は『アタシ』だもんね♪♪同じ能力が使えるの道理。分かったよ、降りるわ♪♪♪」 私が注意してるにも関わらずニコニコしてるシャドー。 本当はネット能力をシャドー並には使用出来ませんが、重力数値ぐらいのプログラムなら書き換え変える事ができます。 もしシャドーが降りて来なかったら即座に重力数値を書き換えて、地上に叩き落としてましたよ。 ズカーン、とね。 「酷い扱い。同じアインなのにね♪」 「だ・か・ら!私の思考を読まないで!!」 私は怒りながら地上に下りたシャドーの右手を掴み引っ張りながら走る。 シャドーと喋りながら走ってしまったせいで、他の皆より出遅れてしまい随分と差がひらいてしまっています。 …あぁ~あ、無事に遅刻せず学校にたどり着く事ができるのかな。 こんなにも先行き不安だらけで学校に向かう私は何処の世界を探しても…私だけじゃないのだろうか。 …。 ……。 ………。 一方、その一部始終を見ていたオーナー達は。 「「「「…………」」」」 沈黙を守っていた。 特に話す事も無く、ただ自分達の武装神姫が学生生活を見守るだけ。 けど一つだけ四人のオーナー達は一致した思いがあった。 それは…。 「「「「気・マ・ズ・イ・!(心の叫び的な感じに)」」」」 ただそれだけである。 「(c) 2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.当コンテンツの再利用(再転載、再配布など)は禁止しています。」
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「俺とティアナの場合」 第2日目「アイドル登場?」 「さあ~今年もやって来ました。交流戦。」 白いスーツに赤いネクタイ。そしてマイクを手にした司会らしき人物がステージに上がる。 「毎年恒例で行われているにもかかわらず情報公開をしないため知名度は低い、しか~し神姫科へ進級した生徒とパートナーの神姫同士の交流を兼ねて行われているバトルトーナメント。公式リーグ参加者とビギナーを分けているので安心の2トーナメント制。どちらのトーナメントも優勝者には副賞として食堂の無料ランチ券1か月分が贈られます。今年は誰が優勝の栄冠を掴むのか!! それでは早速1回戦開始です!!」 けっこう急ぎ足で喋る司会(見たところ1つ上の、大学1年だろうか?)の宣言でいっせいに第1試合のゴングが鳴る。 そして会場(とは言っても体育館なんだが)のメインスクリーンに次々と試合が入れ替わり立ち代りで表示される。 やっぱりずっと前から神姫と一緒にいたヤツもいるみたいで、公式リーグで慣らされた猛者たちも混じっているようだった。 まあ、そういうメンバーは最初からブロック分けされていて、そのブロックのみ試合の迫力が違っていた。 比率的には3対7ってところか。いちおう進学校に分類されるからしかたないけどビギナーの方が多いんだよなウチの学校は。 とはいう俺もバトルに関してはド素人だった。 ティアナの試合はまだまだなのでふらふらと会場を歩いてみる。 で目に留まったのが公式ランカーになっている神姫たちのバトルだった。やっぱり武装神姫と呼ばれるだけあってその能力はすごいと思う。 さっき見た猫型だって広大なフィールドを準備運動かのように駆け抜け、それなのに息一つ乱さないで敵の天使型にぶつかっていく。 爪の一撃を避けられてもすぐにバックステップを行い、プチマシーンズで牽制していた。 やぱりああいう反応は実戦を戦い抜いてこそなんだろうと思う。 ふとティアナはどういう試合が気になるのか聞いてみた。 「ティアナは気になる試合ってある?」 「うーん…このへんで面白そうなのはないわ。言い方が悪いけど正直TVでファーストランカーの試合見てるからそれに比べたらレベルは低いし。」 「じゃあいっそのこと俺たちと同じビギナーの方行くか?」 「ええ、そうしましょう。」 そうして会場の反対側(いちおうマンモス校なので体育館とはいえ結構広い。)のビギナーの試合を見てみる。 おれが巨大スクリーンに目を取られているとティアナが俺のブレザーのすそを引っ張った。 「翔、あの試合が見たい。」 そうしてティアナが指さしたのは、戦闘駆動そっちのけで歌って踊るサンタ…じゃなくて装備はそれだったけど、本体は犬型。 ん?よく見ると髪形がサンタ型のものと酷似してる。あ、犬型もああするとすごくかわいいな~ 「なに見とれてるの?翔」 いつもより少しだけ声のトーンが暗いティアナ…ハッ、心を見透かされる…これからは気をつけよう。 「ああなんでもない、なんか面白そうだから見てみるか」 「あの"犬型"ばっかり見たらダメだからね。 その場合は私服脱ぐから」 そういってティアナは着ているタートルネックに手をかける仕草をする。 ご存知の通り、花形の素体は布面積が少ない。最低限の部分以外はほとんど素肌(この表現が適切かはわからない)だ。さすがに俺もそんな姿のティアナをそのまま学校につれてくれば教師の注意を受けるだろう。もちろん今脱がれれば俺が怒られる羽目になる。それを想像しただけで寒気がした。 「ああ、わかった。」 「よろしい、なんてね。」 そうしておれはその試合が行われているブースに入る。 するとソコだけが別空間だった。ブース内は明らかに今世紀初頭のアイドルっぽい曲、これどこかで聞いたような… 「あ、あれだ。」 俺より先にティアナが曲名にたどり着いたらしい。 「なんて曲だ?」 「ほら、アレ! この前放送してた、全然敵が動かないガンダムの桃色電波の影武者のヤツ」 …なんでこんなにもややこしい言い回しをするんだ?と思いつつ、俺も曲名にたどりついた。 「あ、ガンダム種のアレね~えっと英語で「感情」ってやつだろ。」 「そうそう、♪エモーシふぐぅ」 あわててティアナの口を塞ぐ俺、たしかこういうSSとかでも歌詞を引用したら"あの"ジャ●●ックに請求されるんだってな、それはなんとしても避けないと中の人に怒られてしまう。 それはいいとして、実際に歌を歌っている犬型はというと…ダンスまで完璧。声も透き通ってる感じ。いい線いってると思う。 いや、ロボット目当てでガンダムを見ていたはずなのにあんなシーンが出てきたからなんか印象に残ってるだけだぞ。 しかも敵の攻撃なんて完全に無視してるし、相手の騎士型は相当怒ってるっぽいな~ 「貴様、ちょこまかと!!」 騎士型は助走をつけて飛び込んでいく。しかし 「♪~~~~~」 踊りつつも、背中のブースターでそれをまさに華麗という形容詞が似合う動きで回避。そのまま歌い続ける。 そして曲もクライマックスに。 「♪♪~~~ ♪~」 そうして最後のフレ―ズに入る。 「いい加減にしろ!!!貴様ぁ!!!!!!!!!!!!」 相手の騎士型は完全にキレてる…あれだけ無視されればああなるわな。で右手にランス、左手に片手剣の突撃形態だ。 そのまま勢いをつけて向かっていく。そしてまずはランスをあの犬型に向かって投げつけた。 「ゲイボルグのまねっこ?」 ティアナ、お願いだからさらっとそいいうオタっぽい知識を披露しないでくれ。 休み中はCSで見放題だったからって1日中アニメ系チャンネル見てたもんな~~って、結局マスターである俺の責任になるのか… ランスは犬型のバックパックのブースターを直撃。さすがにあの速度で飛来する大きなランスは避け切れ中ttらしい、犬型はどんどん高度を下げていく、そして騎士型は剣を握り締めて着地地点に飛び込む。着地より数秒早く犬型の歌は全フレーズを歌いきっていた。着地と同時に振り返って騎士型を見る、犬型は笑っていた。 そして激突。激突の衝撃がステージに生えている草木を吹き飛ばす。その草木が再び地面に降りるとき、立っていたのはあの犬型だった。 右手には1振りのライトセイバー…あれはマイクだったものだろう。 もしくはマイクのふりして使っていただけかもしれない、だがそれは確実に相手の騎士型の油断を誘ったはずだ。 騎士型のマスターがへこんでるのを尻目に、犬型はユニットから出てきて挨拶をする。 「私の名前はニーナ、ニーナです! 私の歌は楽しんでいただけましたか~」 何人かの生徒が拍手を送る、でも彼らの見た目は明らかにオタクだった…まあそれにつられてほかの生徒たちも拍手をしてるので俺も混ざってみる。 「私は神姫アイドルナンバーワンを目指してます、いまはまだ無名ですが…きっと一番になって見せます。なのでもしよかったら次のステージも来てくださいね。chu♪」 これで先ほどのオタどもは確実に堕ちたな…俺でも次も見ようって思ったぐらいだし。 「翔、あの子おもしろいわ。あの子と戦ってみたいな。」 ティアナもあの犬型の子…ニーナが気に入ったらしい。 「じゃあ俺たちもそれなりにがんばらないとな、そろそろ俺たちの試合のあるブースに向かうか。」 「ええ、私の力を見せてあげる」 「おお、せめて1回戦ぐらいは勝ってくれよ。」 「もちろんよ、そのためにパーツを取りに帰ったんでしょう!」 「そうだったな、がんばろう。」 そうしてそのブースから立ち去る俺たち2人を見つめる少女が一人。 「木ノ宮君…」 その視線に俺は気付かないでいた。 続く
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戻る トップへ 空は青く、そして高く。 流れる雲は、ただ白く。 冬の陽射しは柔らかく。 それをぼんやりと、どこか嬉しそうに眺める少女が、一人。 古ぼけた、二階建ての大きな図書館、その中で。 どれもこれも飾り気の無い、年季の入った本棚に囲まれて。 少女は二階にある、長机の上に座っていた。窓越しの空を嬉しそうに仰ぎ、古ぼけた本棚を楽しそうに眺めながら。 彼女はくすりと笑った。小さい身体を小さく揺らして。小さな、15センチ弱の身体を、小さく揺らして。 彼女は武装神姫。彼女にとって、人の世界は余りに大きく、人の世界は余りに遠い。 身長15センチ程しか無い彼女にとっては、この長机でさえ広大な大地と言える。 「レミン、決まった?」 少女の背後、陽射しをまるで避ける様に、神楽はそこに立っていた。平均的に言えば、決して大きく無い彼女も少女―――レミンからしたら大きな人間だった。 「司令官、自分はあれが読みたいッス!」 レミンは砲台型特有のバイザーを上げながら、屈託無く言った。その指で本棚の一角を指差しながら。 「……ん」 神楽は本棚へと向かい、迷う事なく一冊の『武装神姫と散弾銃』を手に取った。 顔に当たった日差しに目を細めながら、神楽はレミンに本を渡した。 「図書館では、静かに」 二人以外、本しかいない空間を見渡しながら神楽は言った。 「了解ッス、司令官!」 その忠告を理解しているのかいないのか、レミンは元気一杯に言った。 しかし、そんなレミンの声に眉をひそめる人間は、ここには居ない。 神楽も一応はそれを分かっているので、何も言わずに席に着き、自身の本を開いた。 何の音もしない、静かな図書館にぱらり、ぱらりと二つの音が木霊する。 ぱらり。 ぱらり。 革表紙の英語で書かれた本を、神楽は読んでいる。 無表情に、人から見ればある種不機嫌そうな顔で黙々と文字を追っている。 ぱらり。 ぱらり。 レミンは少し寂れた白い文庫を読んでいる。 楽しそうに、嬉しそうに。まるで子供が絵本を読むように、笑顔で読んでいる。 「やっぱりショットガンと言えばレミントンッスよね! 隊長はウィンチェスターが良いって言うッスけど、司令官はどう思うッスか?」 満面の笑顔で、レミンは言った。 子供が動物園で好きな動物を聞くように、楽しそうに言った。 その言葉は、子供が言うのなら少々不適切だが。 「SPAS」 本から目を離す事無く、神楽はぽつりと答えた。 「司令官、ウィンチェスターかレミントンかって聞いてるッスのに、それは無いッス!」 静かな図書館に、レミンの大声が小さく響いた。 小さな身体から発せられたそれは、人間からすれば普通かちょっと大きい程度の声だ。それは身体のサイズ云々よりも、機械的な制限の方が大きいのだろう。 それでもそれは、水を打った様な静けさに浸るこの場所に確かな波紋を投げ掛けた。 「図書館では、静かに」 レミンの声に引き寄せられる様に、風が吹いた。 窓をぎしりと軋ませるそれは、しかし神楽の声に掻き消された。 「SPASなんてダメダメじゃないッスか! ポンプ・セミ切り替え出来ても故障ばっかじゃ何の意味も無いッス!」 眉をひそめて、出来る限りの大声でレミンは文句を口にした。 その声を浴びせられている神楽は、端から見れば我関せず、右から左に受け流しに見えるだろう。 しかし、彼女を見慣れている人間は、前髪に隠れた眉がぴくりと動くのを見抜くだろう。 「SPASは人間工学に基づいた設計により兵士の負担を軽減している」 「いくら持ちやすくても重すぎッス! 変な機構詰むからそうなるッス! ショットガンはシンプルがイチバンッス!」 今まで、一定のタイミングでページをめくっていた神楽の指が止まった。 そして、無表情なその瞳がレミンを捕らえた。 「な、なんスか」 「……SPASは制圧力に優れるセミオートと確実性に優れるポンプアクションを導入している。これによってあらゆる任務に対応できる。それによって機構が複雑化し、重量が増大しているがそのおかげで安定した射撃が可能。装弾数の多さも利点の一つ」 全くの無表情、全くの無感情さで神楽は一気に言い切った。 しかしそれは一字一句正確無比な機械の発音であり、そしてそれは感情の籠った人間の発音でもあった。 「うぐぐ……SPASなんて旧世紀のイブツッス! そんなん使うならレミントン使うッス!」 「確かにSPASは古い。しかし、それはレミントンも同じ」 つい先刻まで静寂に包まれていた図書館はもう無い。 今あるのは二人の声が渦巻く、喧騒に巻き込まれた図書館だ。 「古ければ悪い訳じゃ無いッス!」 「それは認める。しかし、その発言、先とは矛盾している」 人と神姫、二人分の声は二人の注意力を削いでいた。 現に、階下から響く音に二人とも気付いてはいない。 ぎしり、ぎしり、と。 木製の古い階段を上ってくる足音に、気付いてはいない。 「レ、レミントンは今もパトカーに搭載されてるッス! SPASは大昔に生産終了してるッス!」 ぎしり、ぎしり。 その音は緩やかに、そして確かに近付いている。 二人の視界の外側から、ゆっくりと。 「……SPASの軍用銃は確かに生産が終わっている。しかし、民間向けなら未だに根強い人気を誇る」 ぎしり、ぎしり。 そして今、それは二人の視界の内側へと、侵入した。 「レミントンだって狩猟銃としてなら今でも大人気ッス!」 ゆっくりと、しかし確実に。 それは二人を目指して歩いてくる。 ぎしり、ぎしりと音を鳴らして。 「狩猟銃としてなら、確かにそう。でも、一般的な知名度はSPASの方が上」 ぎしり。 それは、もう二人の傍らに立っていた。 お互いに意識を向けすぎて、気付きもしない二人の傍らに。 そして、口を開いた。 「二人とも、図書館では静かにね」 二人はここに至って、ようやく彼女の存在に気付いた。 そこに立つ、戸坂 加奈美の存在に。 そこまでされてようやく気付いた神楽は 「…………」 絶句し、同じくそこまでされてようやく気付いたレミンは 「び、びっくりしたッス!」 と、大いに驚いた。 「二人の声、下まで響いてたわよ?」 そんな二人の様子を楽しげに眺めながら、加奈美はそう言った。更に続けて言う。 「あんなに大きい神楽の声、久しぶりね」 傍らに立つ加奈美の視線から逃げるように、神楽は顔を背けた。 その頬が赤かったのは言うまでもない。 「不意打ちなんて、加奈美姉さんも人が悪いッス!」 「そんなつもりは無かったんだけど、二人が楽しそうに話してるのを見てたら、ね」 悪戯っぽく笑いながら、加奈美は言った。 そうして、神楽の隣の席に腰を下ろした。その時、神楽は内心、レミンの比では無いほど驚いていた。少なくとも、会話すら出来ないほどには。 「そう言えば加奈美姉さん、昨日風邪で寝込んでたって聞いたッスけど、もう大丈夫なんスか?」 「ええ、神楽とウィンのお陰でね」 「そりゃ何よりッス!」 和気藹々と会話を交わす加奈美の隣、神楽はようやく平常心を取り戻していた。 そして加奈美はそれを見計らった様に、神楽へと声をかけた。 「そういえば、神楽。探したのよ。何時もみたいに教室にいると思ったのに」 「……そう」 少し拗ねた様なニュアンスを含む加奈美の言葉に対し、神楽は未だ俯き加減で一言だけ返した。 「お陰で学校中探し回る事になっちゃったわ」 「……そう」 少しおどけた様に喋る加奈美に対しても、神楽は俯き加減で一言だけ返すに留まった。 加奈美はしかし、それに対し不満を言うことは無い。代わりに、楽しげに神楽の顔を眺めているだけだ。 「司令官、加奈美姉さんの前でくらい明るくするッス!」 二人のやりとりを見ていたレミンは、そう言って立ち上がると手を腰に当てた。 「お婆ちゃんが言っていたッス、好きな人と話すときは明るく笑顔で話すッス!」 そう言いながら、神楽を責めるような視線を送る。 お説教のつもりだろうが、神姫であるレミンがそれをやっても可愛らしいだけで凄みも何もない。 現に加奈美はそれを微笑みながら見守っているだけだし、当の神楽も何の反応も示さないのだから。 「……レミンにお婆ちゃんはいない」 「物の例えッス!」 神楽は溜息ついでに言葉を吐き出し、こめかみを軽く押さえた。 彼女の心情を知ってか知らずか、レミンは相変わらず元気に返答している。 元気なのは良い事だが、元気なだけというのも考え物だと神楽は痛感していた。 「レミンはいつも元気ね」 「女の子は元気が一番ッス!」 図書館とは、本来静かな空間の筈だが、今やその影も形もありはしなかった。 形だけとはいえ、騒ぐ二人を戒めていた加奈美でさえも、お喋りに加担しているのだから。 神楽はそんな事を考えながら、少し音量を下げて口を開く。 「加奈美、何か用?」 先程、加奈美が神楽を探していたような言い方をしていた。 それが気になった神楽はそれを聞くために、そう問いた。 「ええ、探したわ」 それを聞いた加奈美は、にこりと笑った。 それを見た神楽は、内心胸を撫で下ろした。 神楽の心情を知らないままに加奈美は次にこう言った。 「昨日は、ありがとう」 一言、加奈美はそう言った。 神楽の目を真っ直ぐ見つめて、そう言った。 「……ん」 「司令官!」 神楽は無愛想にそう言った。 すぐ脇でレミンの叱責する声を上げたが、それすらも神楽の耳には入っていなかった。 今の神楽は、自分でも分かるほどに赤くなった顔を鎮めるのに精一杯だった。 「ウィンにもよろしく言っておいてね」 「加奈美姉さん、任せてくださいッス! 自分がしっかりと伝えておくッス!」 俯く神楽を横目で見ながら、レミンは元気にそう言った。 そして、一通り言いたいことを言い終えた加奈美は口を閉じた。 一瞬、図書館が図書館本来の静寂に包まれたが、それはレミンによっていともたやすく破られた。 「そういえば加奈美姉さん、神姫を買ったって聞いたッスけどホントッスか?」 「ええ、本当よ」 「なら是非とも会いたいッス!」 まるで、子供の様にはしゃぎだすレミンを見つめながら、加奈美はこう言った。 「そう言って貰えると嬉しいわ……そろそろ、かしらね」 加奈美が意味深な事を呟き、その瞳を大きな窓の方へと向けた。 それに釣られたレミンも意識を窓へと向ける。 しかし、そこにあるのは真っ青な空と白い雲ばかり。可笑しなものなど何も無かった。 「……加奈美姉さん、何がそろそろなんスか?」 レミンは何の変哲もない空を眺めながら小首を傾げた。 しかし、加奈美は何やら楽しそうに微笑むだけで、レミンの言葉には答えなかった。 「司令官……」 次にレミンは神楽に声をかけた。しかし、神楽は未だに俯いたままなので、応答は無い。 レミンは、仕方なしに再び窓へと視線を移した。 「……?」 何の変哲も無い空。 近所には高層ビルの類など無い、余計なものなど鳥くらいしか有り得ない空。 だが、レミンはそこに何かを見た。 しかし、鳥では有り得ないもの。 青い空に溶け込むような群青色のもの。 背中に白い羽を生やすもの。 人の形をしたもの。 それは桃色の髪をしたもの。 それは、武装神姫だった。 武装神姫が、窓の向こう側を飛んでいたのだ。 そして、こちらに向かって飛んできていたのだ。 「……!………!」 それは、窓に張り付くと何かを叫んだ。 しかし、それはガラスに阻まれ、レミンらの所にまでは届かなかい。ただ時折小さな声が届く以外は。 「エウクランテ……スか?」 レミンは半ば呆然としながらも、そこにいる神姫を認識した。 そして、その神姫が加奈美に向かって叫びかけている事に気付いた。 だが、加奈美の方を仰いでみても加奈美は何が楽しいのか、心底楽しそうに笑っているだけだ。 「姉さん、なんか叫んでるッスけど、開けなくていいんスか?」 「そぉねぇ……そろそろ可哀相だから開けてあげましょうか」 レミンに言われ、加奈美はようやく腰を上げた。 そして、やったらにこにこしながら窓を開けた。 その瞬間、静かだった図書館に神姫のモノとは思えないほどの怒鳴り声が満ち渡った。 「主、何故直ぐに窓を開けて下さらないのか!?」 窓を開けたままの体勢、そのままの加奈美に対してシルフィは開口1番怒鳴り付けたのだ。 「なんでかしらねぇ?」 「なんで、ではあるまい!明らかに楽しんでおられたろう!?」 怒鳴られながらも加奈美は平然とした様子で窓を閉め、もとの席に腰を下ろした。 「あら、分かっているんじゃない」 「主……!」 背中に翼を背負っただけのシルフィが加奈美の前、レミンに背を向ける形で長机の上に降り立った。 そして、それを見計らった様に口を開いた。 「そ・れ・よ・り、何か私に用があったんじゃなくて?」 「……ああ。ああ、そうだとも主。何処かに行かれる時は一声かけてくれとあれほど……!」 「だってぇ、シルフィったらパーシと楽しそうにおしゃべりしてたから邪魔したら悪いかしら、って」 「何度も言わせて頂くか、例えパーシとの会話であろえと神姫バトルであろうと、主の事とは比べるまでも無いと……!?」 「あら、お友達とのおしゃべりは大切よ」 「……それはそうだが!」 「シルフィはまだお友達が少ないのだからダメよ?」 「それとこれとは関係が無かろう!」 そう一喝されて、加奈美は一瞬押し黙った。 「ああ、そうだわ」 「……少しは反省なされたか?」 「ここは図書館だからあんまり大声出しちゃダメよぉ?」 「……主は……いつもそうだ……!」 なんかすごいもんみちゃったなぁ。と、神楽は内心思っていた。 凄まじい形相で怒鳴っていたシルフィ。それを涼しげに、むしろ楽しそうに受け流す加奈美。 そしてそれを呆然と眺めているレミン。 修羅場ってこういう事を言うんだなぁ、と神楽は考えていた。 「主よ、私がこうして怒っているのも主を案じての事と分かっておられるのか……!」 「シルフィが泣いて叫んで探し回ってくれれば私も少しは考えるわ」 「何をどう考えるのだ……!」 「どうやったらシルフィがもっと泣き叫ぶか」 「主ッ!」 「そんな事より、レミン。この子が私の神姫、シルフィよ」 唐突に、いきなりに話を振られたレミンは 「ふぇ?」 という妙な音声を発してしまった。 「……シルフィだ。何も言わずにふらふら歩き回り見つけたところで反省も何もしないオーナーの神姫だ」 シルフィは顔だけを後ろに向けて、そう言った。その顔に浮かぶ憤りを隠そうともせずに。 「わ、私は神楽の神姫のレミンッス!」 そんなシルフィの様子に尻込みしながらも、レミンは勇猛元気に挨拶をした。 「ああ、よろしく」 しかし、シルフィは素っ気なく答えただけで再び加奈美へと顔を向けてしまった。 残されたレミンは涙目で、小さな声で神楽に訴えかける事しか出来なかった。 「……司令官……シルフィさん……超怖い……ッス」 「……運が悪かった」 だが、神楽は神楽で読書を再開していた。レミンを慰められるのは、今や加奈美だけだった。 「姉さん……」 「そういえば、神楽。さっきは何の話をしていたの?」 「主、私の話はまだ終わっていないぞ!」 加奈美だけだった。 だけだったが、当の加奈美は平然と神楽に会話を振っており、レミンの声は聞こえていない様子だった。 「……散弾銃について」 神楽はレミンを一瞥したが、それだけだった。 「あら、そうなの。確か神楽はスパスが好きなのよね」 「……そう」 「私は断然モスバーグなんだけど、レミンはどう思う?」 今までスルーされていたのに、唐突に話を振られたレミンは一瞬驚き、しかし直ぐに目を輝かせながら口を開いた。 「自分はレミントン一筋ッス!」 「……主よ、どうやら主は私を本当に怒らせたいらしいな」 一方シルフィは額に青筋を浮かべて笑っていた。 「今日という今日は言わせてもら……!」 全く聞く耳を持たない加奈美に、シルフィがキレかけた。 神楽は読書しながら巻き添えを食わないよう微妙に距離を離し、レミンは再び半ベソになって、加奈美はシルフィを見ながら笑っていた。 まさにその時、だ 「みなさーん、図書館では静かにお願いしますよー」 階段の脇、にこやかに笑う図書委員、眼鏡の似合う女子高生、国崎 茜が警告を発したのは。 茜の容姿は学校指定のブレザーとスカート。胸元には真っ赤なネクタイを締めている。 茶色がかった髪は肩口で揃えられ、黒ぶち眼鏡をかけていた。 それはまさに図書委員であり、どこにでもいそうな高校生だった。 「「……ごめんなさい」」 眼鏡の奥にある目は僅かに細められていて、それは見る人間に悪い印象を与えないはずだ。 だがこの場、彼女と対峙した二人は何故か茜に戦慄した。 それは図書館で騒いでいた後ろめたさが大きいが、その奥底にはもっと根源的な感情が存在している。 「二度目は無いですからねー。次は食べちゃいますからねー」 にこやかに言い放つ茜の言葉は、恐らく額縁通りの意味だったのだろう。 トップへ 進む -
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考えている、アタシこと豊嶋神無は考えている。誰の事を? それはまあ、彼女・・・じゃなくて彼の事を。 「だってさあ、男の子なんだよ?」 数学の吉田先生の方程式をガードするようにノートを立て置き、そんなふうに呟く。はっきりとしない感情。窓際席ゆえの暖房と、意外に暖かい冬の日差しの二重奏にぼんやりするのとはまた別の、良いような悪いような心地。 微音、叩。 「神姫って普通、女の子じゃないの・・?」 ロウの姿を思い浮かべる。顔の造形は女性的。あまり詳しくはないけれど、普通の神姫と変わりはないように見える。けれど、胸はない。父さん曰く「強化改造の影響」ということらしいけれど、そうじゃない気がする。まあ、男か女かなんて、“下の方”を調べてみればわかるはずなんだけど・・ 「できる訳、ないじゃない・・・」 ただ“その辺り”を見つめるだけだって何か恥ずかしいから、わざわざロウ用のショートパンツ作った位なのに、そんな事したら恥ずかしくて死んじゃうよ。 微音、叩、叩。 「大体、触るのだって怖いのに・・・」 ロウは普通の神姫より頑丈らしいし、その手足、後【背中の手】は大きいけど、首とか二の腕とかなんてちょっと触ったら折れちゃいそうなほど細い。すぐ痛がらせちゃいそうで触れない。でも、あの髪くらいなら触っても大丈夫かな? でも、何かヘンな事言われそうで、それが、また、怖い。 「・・・でも、今日手に触っちゃったんだよね・・・。あんな事くらいで喜んじゃって。そう言えば、ショートパンツあげた時もバカみたいに喜んでて・・・」 微音、叩、叩。軽音、叩、叩。快音、叩叩叩叩叩。 「・・・ってうるさいなあ、さっきか・・・ら?」 その音がした方を振り向く。それは窓の方、よく考えればアタシが窓際、しかもここ3階、つまり人がいる訳ない方向。振り向いたら確かに人は居なかった。でも、“居た”。 快音、叩、叩叩。 「・・カンナっ!」 「・・・え、ロウっ!?」 直ぐさま窓の鍵を外して、そっと開く。と・・・ 「カンナぁっ!!」 「うわっ!?」 急、飛込。回避。 「おりょ!?」 通過落下転倒、横転横転、巻込横転薙倒横転転倒横転、横転横転横転。 「きゃあっ!?」 「なんだぁ!?」 「うわ、机が!?」 横転激突、停止。 「ううううぅう・・・」 「・・・ロウ、あんたって・・・」 窓からアタシ目掛けて飛びかかってきたロウを避けたら、ロウはそのまま教室の中に突っ込んで机を吹っ飛ばし、クラスメイトの足を引っかけ、ホコリを巻き上げながらすごい勢いで転がって、教室の反対側の壁で止まった。ノートも教科書も机も椅子も薙ぎ倒されて、教室はメチャクチャ。クラスメイトのあびきょーかんの声。どういう勢いで飛んできたの、あんた。 「豊嶋さん! これは一体なんです!?」 「あ、吉田先生! ええと、まあ、うちの犬です」 「犬ぅ?」 「あー、いたかった。カンナよけるなよ~」 「犬って、神姫じゃん、これ」 クラスメイトが指摘する。いやまあそうなんだけどそうじゃないと言うか・・・。 「・・・ところでさ、ロウ、何しに来たの?」 「カンナのべんとーとどけに!」 確かに大きな手の中にアタシのお弁当箱が握られてる。とりあえず近づいてそれは渡して貰う。 「・・・で、用が済んだなら早く帰る!」 「は~い!」 疾走、跳躍、飛込、消。 また同じ窓から、ロウは北風みたいに飛び出していく。あんまりに唐突な出来事に、誰も声が出せないみたい。 「・・・ええと、まあ、ごめんなさい」 残りの授業時間は、お説教と教室の片づけだけで終わった。 「まったく、あいつったら・・。夕飯ヌキにしてやる」 「まあ、そのお陰で神無はお昼抜きにならなくて済んだんじゃない」 「このぐっちゃぐちゃの寄り弁見てもそんな事言うの?」 机を向かい合わせにしていた秋子にそう言い返す。ご飯とミニハンバーグとポテトサラダとオレンジが混ざっててすごい味がするんだよ、これ。 「でも、神無が神姫持ってるなんて知らなかった。あ、でも犬飼ってるって言っていたね。それがあの神姫?」 「うんまあ・・・。でもあの武装神姫っていうの? あれはしてないよ」 でも、神姫の事であんまり騒がれるのが嫌だったので、秋子も含めて学校では誰にもロウの事は言ってなかった。神姫って高いらしいから、知られると特に男子が騒ぐんだよね。大体あいつみたいなやっかい者の事を人に知られたら恥だし・・・って遅いかもう。 「確かに、神無がそういう事するようには見えない。まあ、私もそうなんだけど」 「え? 秋子にもいるの、神姫?」 「ええ。兄のお下がりみたいなものが、1人」 「どんな性格なの?」 「可愛いよ、人なつっこくて。でもちょっと頑固な所がある」 「ふうん、うちのロウよりはまともみたい」 「そうでもないのだけど・・。でもそんなに変なの、あの神姫?」 「うん、すごく変。だって“男の子”なんだよ? それに騒がしいしものは壊すしごはん犬食いだし・・・」 「男の子? そんな事もあるの?」 「あるみたい」 「ふうん。でもそう、“男の子”ね・・」 「?」 「なあなあ!! あの神姫って豊嶋のものなんだろ? カッコイイな!」 「へ!? あ、うん?」 突然、甲高い声が耳元を直撃。見上げると居たのはクラスメイトの男子。ええと確か相原武也君(男子の名前なんて全員は覚えてないや)。いきなり馴れ馴れしく話しかけられて、ちょっとびっくりする。 「俺も神姫持ってるんだけどさ、あのハウリン、見た事もない武装だよな? 何処で手に入れたんだ? バトルやらないか?」 「いや、あれ父さんが会社から連れてきた試作品?だから売ってないし、そのバトルってのもちょっと出来ないんだよね。アタシはマスターとか言うのじゃないし」 「え!! 豊嶋の親父って神姫メーカーに勤めてんの? 嘘!? 何か非売品パーツとかも貰えるの!? いいな、俺にも少し分けてくれないか?」 あ、やばい言っちゃった。だから神姫の事言わないでいたって言うのに。 「いや、そういうのはちょっと・・・」 「じゃあ、バトルだけでもしない? レギュレーションがマズイならフリーバトルでいいしさ。あ、もちリアルバトルは無しな、今修理中のパーツがあるしセッティングも・・」 「いやだからムリなんだってば・・・」 なんかよくわかんない単語の連続と、そもそもよくわかんない男子に話しかけられるウザさでちょっと嫌になる。けど相原君のこの勢いをどうやって止めれば・・・ 「・・・私の神姫で良ければ、会わせてあげてもいいわ。直接、バトルは無理だけれど、装備やバトルデータ共有で参考にはなると思う」 「何? 法善寺も神姫持ってるの!? だったら・・今度お前んちに行ってもいい?」 「え、あの、いやそれは・・・」 「お~い武也、体育館行こうぜ!」 「ああ、今行く! じゃあ、法善寺また後でな!」 そう言って、友達に呼ばれた相原君は教室から走り去って行った。 「う~ん、言うだけ言って帰るし。でも、良かったの秋子? あんな事言っちゃってさ」 「・・・私の神姫、ちょっとバトル嫌いなだけだから」 「いやそうじゃなくって相原君を家に呼ぶって話。秋子って、男の子と遊ばないでしょ普段。神姫の事も隠してたんだから、そっちに興味ある訳でもなさそうだし。アタシを庇ったって言うなら後でアタシが断るよ?」 「そうじゃないの。ただ、ちょっと相原君に興味があるだけ」 「・・・あ、なるほど。秋子って相原君好きなんだ」 「・・ちょっと、興味があるだけだって」 クールな秋子が珍しくしおらしい顔を見せる。そういうのまだ興味ないんだって思ってた。でもそんな事も無いよね。 「うん、わかった。出来る事があったら応援するよ」 「それはいいけれど、神無は、自分の事も考えた方が言いよ」 「へ? どういう、意味?」 「え!神姫での犯行だったんですかあの窃盗!!」 豊嶋甲の裏返った声が、BLADEダイナミクス第4研究部に木霊する。周りの部下に変な目で一瞬見られるが、部長が変なのはいつもの事と、すぐに視線は消える。 『ああ、私がずっと犯人を追っていたんだ。そちらの方は処理出来たんだが、それよりちょっと気になる事があってな』 甲がパソコンに写した複雑な面持ちを知ってか知らずか、ボイスチャットの相手は少し重い声色に変わる。 「気になるって、もしかして犯行に使われた武装神姫の事ですか、“ファナティック”さん?」 甲は画面の向こうの低い電子音の主、ネットハッカー“ファナティック”に問いかける。“彼”はハッカーとは言え通常のそれとは毛色が違い、メーカー等関係者への有用な情報提供、ネットに漂う違法神姫サイトのクラッキングなど、MMS、特に神姫を守護する存在として有名だった。甲自身も研究の支援を受けた経緯があり、“彼”には無二の信頼を寄せていたのだ。 『いや、それを破壊した者の事だ。お前の神姫、確かロウ、と言ったな』 「ええまあ。ってロウがどうかしたんですか?」 『そのロウが、犯人の神姫を破壊した』 「へ!? ロウが!? そういえば庭に何か居たとか・・・でも何も無かったしなぁ・・・」 『それは私が回収した。犯人を追跡する途中で、その現場を目撃したんだ。どうもお前の家に盗みに入る所を、ロウが阻止したらしい』 「うちに盗みに? 本当に入ってたのかよ・・・」 『問題は其処じゃない。その神姫が、“自分の同類である神姫を何の躊躇いもなく破壊した”と言う事だ』 「・・・どういう、事ですか? 大体ロウはそんな凶暴な訳ないし・・・」 『その神姫は、“神姫を認識していない”。認識していなければただの人形と同じように“壊せる”。それどころか下手をすれば人間にも危害を加える可能性がある』 「う、嘘でしょ!?」 思わず甲は画面にかぶりつく。 『その神姫は、論理プロテクトが外れている可能性がある。いや・・適応されなくなった、とでも言った方が正しいか。確かその神姫は、自分の事を“男”と思っていると言っていたのだったな?』 「変な話だと思うけど、別にいっかと思ってたんですが」 『・・・普通はもっと怪しむがな。ともかく、そいつにお前は「留守中の家を守れ」と言ったのだったな』 「ええまあ、犬だし、昼間うちは蒼とロウしかいないから、家を守るのはお前の役目だって言ったけども確か」 『つまりはその“家を守る”為なら誰を傷つけても何とも思わないという事だ』 「そんな! そんな事、出来る訳・・・」 『“人間”ならば家族を守る為になりふり構わず、なんて事は普通だろう? いや、もっと残酷な手段であろうと日常茶飯事ではないか? “G・L”に感染しているとすれば、そんな事も有り得るんだろうな』 「へ? “G・L”って何のことで?」 『後で話す。まずは確認してからだ。今からその神姫に会う』 「ロウに会うって・・・」 『お前の家が近いと判ったからな、もう家の近くに来ている。もうすぐ・・・』 「もうすぐ・・・ 来たわね」 塀の上を歩いて来る影を見つけ、アニーはボイスチャットを一旦保留する。【玉座】を操作して、緩い速度で、その影へと近づく。 「ガッコってとこ、おもしろそーだな、カンナもいるし。もっといたかったけど、でもカンナがかえれっていうし・・・」 「はあい、あなたがロウ君ね」 「? あんただれだ? ロウとおんなじか? おんなじみたいなにおいがする」 「・・ふうん、自覚もあるんだ。それにジャミング無しでも“2次感染”もしない、本物ね、“G・L”だわ」 「だから、あんただれ?」 「ああ、ごめんなさい。あたしはアニーちゃんって言うのよ。あなたに大事な事を教えに来たのよ」 「え!! それってセンセってやつか! ガッコでいろんなことおしえてくれるひと!」 「先生? まあ、そうとも言えるかもね」 「やったー! これでおれもガッコにかよえる~!!」 「え!? いや、そういう事じゃないんだけど・・・」 「そうすれば、ずっとカンナといっしょだ!」 彼女、いや彼の名はロウ。それは「狼」ではなく、「浪」でもなく、「桜」でもなく、「Law」でもなければ、「Low」でもない。「ろー」、それはただ家族の為にある名。 ・・・“男”としての誇りに満ちた名。 “女性”を失い、同族を握り潰し、そして己が身すら省みる術を知らない。だが、家族があり、誇りがあり、・・・そして“愛するもの”が居る。 その“心”の何処が、劣ると言えるか? その心の何処が、狂っていると言えるだろうか? 答えを出せる“人間”は居ない。 ―第1章 狂犬 終― 目次へ
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第一話:仮装姫 俺の学生としての朝は早い。授業がだいたい、一限目からあるのもそうだが、蒼貴、紫貴のメンテもしなければならないからだ。不本意ではあるが、杉原からそれに関する知識を学んで、それから日課にしている。工業大学所属の俺としては精密機械をいじれるのは授業の助けになっており、非常にプラスに働いている。二人を整備できて成績アップになるのだから苦にはならない。 蒼貴と紫貴とああだこうだ雑談しながらそれを終えたら、大学に行くべく、スマートフォンやら財布やらの常備品や道具を詰めた通学用のカバンを持って、二人に見送られながら部屋を出る。ここからは大学生 尾上辰巳として活動するのだ。 家の外へと出たら、大学へと向かう。通学には電車を使っている。その気になれば時間はかかるものの、自転車でも通えるのだが、電車の方が帰りの飲み会などの時に都合がいいからだ。 「今週の週刊バトルロンドを見たか?」 「ああ。また双姫主の尊がランカーをぶっ倒したらしいぜ? これだけの事をやっていて何で素性を隠すんだろうな?」 「さぁ……? 闇バトルをぶっ潰したこともあるとか、バーグラーに結構、因縁つけられているとか黒い噂もあるからじゃね?」 「ほんと、すげぇよな。憧れるぜ……」 大学へ行くための電車の中で何やら中二病でも患ってそうな残念な二人組が俺の噂をしている。誠に申し訳ないが、実際には学生生活でそれがバレると人間関係上、非常に好ましくない事になるからだし、ランカーとかバーグラーに関しては倒す必要のあったり、止むを得なかったりする相手がたまたまそうだっただけだ。十中八九、お前らのヒーロー像を台無しにするだろう。 内心、軽い謝罪やら、憧れの否定やらが混ぜこぜになった気持ちでそいつらをスルーして大学のある駅を降りる。駅を降りて、徒歩十分の所に俺の大学がある。少しは名の知れた工業大学で中堅に位置するまぁまぁな大学だ。ちなみに男性八割、女性二割のむさ苦しい環境にある。工業大学にはよくある事である。 そうそう、『尾上辰巳』と『尊』の時は髪型のセットを変えたり、伊達眼鏡の有無でかなりの差をつけている。俺を知るヤツでもない限りはバレる事はない。 十分間、通学路を歩いていく。今回も例によって気づかれる事なく、通り過ぎることができた。 「尾上~。授業行こうぜ~」 振り向くとチャラ男のテンプレの様なファッションの男がいた。 樺符 守。それが彼の名前だ。高校時代からの友人で大学でもよく同じ授業を取るため、大学に行くと高い確率で会える奴だ。 「ああ。確か、今日の一限は埴場先生の心理学だったな」 「メンドくせぇんだよな。あの先生の神姫の心理とかの話はよ。神姫なんてキモいだけじゃん。オタクの最新アイテムってだけだしさ」 「そう言うな。授業に出れば単位はもらえる」 「ははっ。それもそうだ。今日も寝てそうだぜ」 この様に神姫はオタクのフィギュアと同列と認識している。神姫には心はあるが、彼の場合は実際の女性と遊ぶことの方が遥かに楽しいし、神姫など所詮はロボットだし、フィギュアの延長線としか思っていない。それが真っ当だと思っているのである。 勘違いしないでほしいが、俺は神姫マスターになっても彼を嫌ってはいない。普段の守は根は優しいし、面倒見はいい。サッカー部ではエースストライカーを任されるほど、しっかり努力をしている。普通の人間としては恰好を除けば極めてまともなのだ。そして、彼の神姫への認識は別に大衆的な観点から言えば、間違っていないのだ。 神姫は確かにオタクが多くもっており、アレな衣装を着せて好き勝手やっている様は野郎がお人形遊びしている様にしか見えないという偏見は少なからずある。そもそも俺もその一人だったのは蒼貴と出会ったばかりの時の通りだ。 彼女と出会う前は工業大学で剣道をしながら、守を初めとする友人達と遊ぶ神姫とは無縁の生活をしていたのである。 「そういや最近、お前は忙しいのか? いや、誘っても頻繁には来なくなったからよ」 「バイトが忙しくなったのと、友達が増えてスケジュールが埋まるからだな。お前も結構、増えたんじゃないか? もう俺達も大学二年の後半だ」 「確かにそうだな。すまねぇな」 「気にするな。プライベートは人それぞれさ」 蒼貴と会ってからは、こうして嘘もついている。大学生活と神姫生活の二重生活のためにな。 後は守と適当な雑談をしながら、教室へと入って席に付く。周りを見てみると神姫たちが見え隠れしているのがわかった。 デブがマリーセレス型と戯れていたり、生きていられるのかと不安になるほどガリガリでビン底の様な度の凄そうな眼鏡をかけた奴は他の人達に目もくれずにラプティアス型とボソボソと話をしていた。 「うっへぇ。相も変わらずってもんだなぁ……」 彼らは極端な例だが、こうした光景を見ると守が気味悪がるのもわからないでもない。こういう光景が珍しくないのが現状の神姫のイメージと思われても仕方のない事のなのかもしれない。城ヶ崎玲子や藤堂亮輔の様な金持ち美人や若い妻帯者が神姫をやっているというのが少しでも見られれば少しは守のイメージは変わるかもしれないが、この場でそういった類の事は……あまり期待できない。 何も返事をすることのできない俺はその言葉を無視して、筆箱やら、ノートを自分の前に出して準備をする。 「お前は本当に真面目だよな。この授業ってテストあるけど、受けていなくても取れるって先輩の話だろ?」 「だからといってやらないのもな。ものは考えようで楽しめるさ」 呆れ半分、感心半分な口調で俺のその行動を守は授業の事を言ってきた。その返事は表側はそう答えたが、本当は埴場先生の神姫を交えた心理学の授業はなかなか興味の持てる内容であり、蒼貴と紫貴に出会って以降、後期の授業で取ろうと決めていたのだ。 「変わってるなぁ。まぁ、いいや。俺は寝るぜ……」 「また、夜遅くまで起きていたのか。よくやるなぁ」 「大学の奴とSkipeでダベっていたら結構な時間になってな……」 「そうか。まぁ、ゆっくり休んどけ」 「おう……」 適当に納得した守はSkipeで寝なかった時間分を補うためにすぐに机に突っ伏して眠りに入った。俺は彼をそっとしておく事として、授業の開始するまでスマートフォンを使った情報収集をする。イリーガルマインド関連の噂、有名なオーナーの噂と色々と調べ物をする。 十分後、教壇に埴場玲太先生が自分の神姫であるクラリスと呼んでいるアルトアイネスと一緒に立った。 「やあ。こんにちは。これから授業を始めるよ。最近、イリーガルマインドの偽物が出回っているらしいから気を付けてね。そういう違法パーツに惹かれる心理というのはだね……」 「教授。必要な事は伝えたんだから授業」 「そうだね。では始めよう」 埴場先生は心理学的な興味から神姫を始めた人で、そこからはまり過ぎてFバトルと呼ばれるライドオンシステム形式のバトルロンドの大会において、F0クラスで上位ランカーになったことがある程の実力を持つほどになったらしい。 ただ、××××という青年がF0にやって来ると、彼は二十位からあっさり先生のランクまでたどり着き、すぐに先生を超えて、一位をかっさらってしまったとの事だ。 ××××は違法DLアプリ事件と謎の連続爆発事件を解決し、長きに渡り、F1チャンピオンだった竹姫葉月をも超えたトップランカーだ。最強の名を欲しいままにする彼はいったいどうしているかはその事件以降はわからない。だが、「お人よし」だの「どんな神姫も認めるマスター」だの様々な言葉で多くの人に認められている彼の事だ。決して迷うことなく、正しいと思う道を行くだろう。 「……この様に相手の都合の悪い秘密を知ってしまうと、ギャップが生じてしまうんだ。簡単に言えばイメージが崩れたとか、こんなのは彼なんかじゃないとかそんな感じだね。あいどるなんかの知らない一面を見たときなんかにそれを感じたことはないかな? 他の人の神姫なんかでもいいかもしれないね」 今回は秘密、隠し事による気持ちの変化の授業であるらしい。皮肉にもそれは俺は大きく該当することになる。もし、守に自分が神姫を持っていることがバレれば、神姫を、そのマスターのイメージを嫌悪している彼はイメージとは違う俺を見て、拒否するかもしれない。 そうなれば、これまでの友情が壊れてしまうだろう。それどころか、噂が広まって大学での自分を見る目を皆は変えてしまうかもしれない。だからこそ、俺は神姫を持っていることを隠し通している。これまでの自分の繋がりを失わないために、な。 全く、何が『双姫主の尊』か。あるのは対戦で勝った事実だけで、大衆のイメージには無力だ。 「それを利用して悪さをする人もいる。脅迫ってヤツだね。そういうのは一度、応じてしまうとそうした人達はもっともっととやるのは映画なんかでもよくあるシチュエーションだ。チョコレートをあげたら今度はケーキをって具合にね」 問題はこういう所だ。必要に応じて選択していく必要があるだろう。当然、金銭やら物品を要求してくるならほっとくか、状況に応じてこちらもバラせない状況を作る。単純なバラす事だけをしたいというなら何かしらの勝負をして黙らせるだけで十分だろう。 もっとも、そういう事が無い様にわざわざ変装をしているのだからそんな状況に陥らないのが一番なのだが。 「さて、これで授業を終わりにしよう。来週は先週言った中間レポート提出があるから忘れないように頼むよ」 クラリスにたしなめられながらの埴場先生の授業が進むと、チャイムが鳴った。そうするとキリの良い所で埴場先生は授業を終わらせ、来週の連絡事項を伝えると教室から出て行く。 「ん……。辰巳、授業は?」 それと同時に周りの人達が雑談を始め、その多くの声で守が目を覚ました。 「もう終わった。来週はレポートらしいから忘れるなよ」 「先週の連絡のか……。わかった……。あ~、ねみぃ……」 「……俺は次の授業に行く。お前も遅刻しない様にな」 「結構、遠いとこの教室だったな。お互い、頑張ろうぜ」 「ああ。またな」 簡単に連絡事項を伝えると、お互い違う授業であるため、俺は守と別れて次の授業へと急ぐことにした。 次の授業はC言語のプログラミングだった。その辺りは蒼貴や紫貴のシステムチェックで覚えた知識が活かせるのでさほど、苦戦する授業ではなかった。 俺は授業以上の事はしなかったが、その手の変態の物となると神姫のオリジナルスキルプログラムを作ったり、他のロボットプログラムを作ったりと多種多様な専門的な話が行き交っていた。 武装神姫を初めとするロボット分野のシステムの幅の広さには内心、驚くものがある。オタクがなんだろうが、こうしてとんでもない技術をもっているのなら、問題はないはずなのだが、彼らは趣味がアレな方向に突っ走っている。そのため、他の人からはちょっと変な目で見られがちだ。バカと天才は紙一重とでもいうのだろうか。 授業が終わると昼休みに入る。俺は食堂で食事を取っていると、神姫関連の噂が飛び交っているのを耳にすることができた。それは狂乱の聖女やイリーガルマインドという実際にあった事例のある噂から、『異邦人(エトランゼ)』や『大魔法少女』といった通り名持ちの有名なオーナーの話まで非常に種類が豊富だ。 神姫オーナーになってみると毎日の様に聞ける訳の分からない単語も理解できるようになってきている。それだけ自分も武装神姫を知ることができているという事か。 食事が終わった後は後半の制作実習を神姫のメンテ技術を活かしてこなす。かなり基礎的なものであり、いつものメンテに比べれば楽な授業だった。 最後は部活だ。剣道部に所属をしていて、子供の頃から祖父の教育で様々な武術を習わされた経験の積み重ねから二年で指導する立場にあった。 「身体全体を使え。身を固くせず、柔らかく、円を描くようにだ」 俺は指導をしながら、後輩の連続攻撃を避ける、いなすと攻撃を見切った上での防御をしてみせる。 「そしてそれを闇雲にやるんじゃない。必中の気持ちでやれ」 後輩の攻撃は直線的であり、あまりフェイントもしてこないため、読みやすい。これでは勝てる試合も勝てない。 「わ、わかりました!」 今度は俺の隙を見計らうつもりか、闇雲に攻撃してこなくなった。いい傾向だ。 しばらく、狙いを定めるかの様に俺をにらみつけた後、面を仕掛けてきた。いい攻撃ではあるが……。 「胴! ……っと」 大振りのそれを素早い胴で切り抜け、一本を取ってみせる。一歩遅れて後輩の面も放たれたが、既に俺のいない場所の空を裂くだけだった。 「良い攻撃だったが、大振りだ。もう少し素振りをして、無駄なく触れるようにするといいだろう」 「はい!」 後輩のアドバイスをすると、彼は自分からそれを実践し始めた。これでこの後輩への指導のキリはいいと考え、別の後輩を捕まえるべく動こうとすると何やら二、三人が固まって議論しているのをみつけた。 「それにしても尾上先輩が神姫に指導をしたらどうなるかなぁ?」 「何かその神姫は化け物になりそうだよね。先輩、教え方上手いし、戦略ゲームを携帯ゲーム機でやってるのを見たことがあったけど、簡単にクリアしてたし」 「戦い方も超厳しいお爺ちゃんから、子供の頃から様々な武術を叩き込まれてて、わかっちゃってるからなぁ。マスターのスペックがそのまま、神姫に反映されたらすさまじいだろうさ」 「ああ。だから、この部活に多く来ているわけじゃないのに、あんなにすごく強いんだなぁ」 半ば本気、半ば冗談で俺が神姫に技を教えたらどうなるかが議題ならしい。 実際に持ったまでは現実になっているが、化け物にはなっているとは到底思えんのだがね。それに神姫で必要なのはパートナーとなる神姫との連携だ。それを幾千幾万通りと考えられる発想力があれば、特に武術やら才能やらがなくても、努力次第で違ってくるはずだ。どっかの雑誌じゃ、努力と友情と勝利という三つのキーワードを掲げているが、割とそんなものなのではないだろうか。 「おい。何話してんだ? 今は稽古中だぞ?」 「あっ!? すいません!!」 「先輩って神姫は知ってますか?」 「……周りで聞く程度にはな」 「それに先輩が戦い方を教えたらすごくなるんじゃないかって話していたんです。先輩、神姫をやってみませんか?」 「すまんが……時間がないから難しいだろうな。それより、稽古だ。ここで話をしている暇があるなら練習するぞ」 せっかくの誘いだが、俺は隠し、断る。それを了承することはない。尊の時もそうだ。こいつらでは尊が俺だと察してしまう。心苦しくはあるが、隠し通すしかなかった。 話題を稽古に無理やり切り替え、後輩達の指導をつづける事、一時間前後。剣道部の稽古が終わり、俺は帰路に付いた。 今日は一旦、家に帰って、蒼貴と紫貴を連れて、真那のバトルロンドの練習に付き合う事になっていた。少々早めに帰る必要があるだろう。あいつは遅れると色々とうるさい。 「ねぇ」 そんな中だった。駅に着く前に突然、肩を叩いて呼び止められる。その声の方を向くと女性がいた。彼女は……確か、弓道の竹櫛鉄子さんだった。 「何だ?」 「君が双姫主の尊君?」 「尊? 誰だか知らんが、人違いだ」 ポーカーフェイスな返事とは裏腹に竹櫛さんの言葉に俺は内心、驚愕した。変装をどうやって見破ったというのだろうか。 「そうなん? 君、『あのイベント』におったでしょ?」 「いや、いなかった」 「ああ、まどろっこしい奴だな。鉄子ちゃんよぉ。写メ見せてやんなよ」 突然、カバンからキツネ耳が特徴的な確か……レラカムイ型の神姫が出てきた。そいつは確か、コタマと遠野のイベントでは呼ばれていたのを聞いたことがある。 そして、彼女に促され、鉄子が携帯の画像を俺に見せてきた。 ……そこには俺がVRマシンで対戦をしている様子が写されていた。 動かぬ証拠だった。確かにこれだけしっかり撮れていれば、こうして偶然見つけたらわかってしまうだろう。ここまでの物を撮られているとは予想していなかった。いや、気づかれないと高をくくっていた自分の油断だったのかもしれない。 いずれにせよ。これ以上は言い逃れはできそうになかった。 「……場所を変えようか」 これ以上の正体バレを防ぐため、俺は彼女を別の場所……通学路から大きく外れた喫茶店へと誘う事にした。 それに対してコタマは少々不服そうだったが、二人は了承し、俺に付いて来てくれた。現状はこれでこの二人だけが知っていることになると考えられる。その後はこいつらとどう話を付けるかだ。 これは……面倒なことになった。 トップへ 次へ
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第7幕「意思の同調状態」 TEPY SAMURAIのボディーを使用してはいるが、コアパーツにはTEPY DOGの物を取り付けている。ならばTEPYで呼称するのであればその神姫はハウリンであろう。 例えその殆どを紅緒のもので武装したとしても、やはり顔がハウリンならばそう呼ぶのが妥当ではないか。 大本がどうであれ、判別する為の材料としてまずコアパーツを見るのであれば、いくらその個体の大部分がTEPY SAMURAI 紅緒だとしてもそれは紅緒になりえない。 結城セツナの所有する武装神姫、焔はそういう位置に立つ神姫である。 そのバトロイは、圧倒的で劇的な、そんな結果を伴って終了に向かっていた。 戦いには相性というものが少なからず存在する。簡単に言ってしまえばジャンケンの様なもの。 グーはチョキに勝てるが、パーには勝てない。 実際はそこまで単純な話ではないのだが、それでも相性というものは戦いにおいて重要だ。 そしてそれは何も相対する敵との相性に限った事ではない。 個体間に差異の大きい武装神姫であるなら、組む相手との相性もまた重要である。 ティキと焔の相性は、元々一つであった何かが再び出会ったのかと言う位良好であった。 M・D・U『シルヴェストル』を装備したティキの姿を見たときは、さすがにセツナも焔も驚いた。 今までのティキとは明らかに違うそのシルエットは、その変化に見合うだけの力を持っていることが窺い知れる。 決して洗練されてはいないのだが、そこには様式美ではない美しさが見て取れた。 一方焔は相変わらずオフィシャルな武装を組み合わせた姿である。それでも今までの装備とは違っていた。 外套を外し、黒き翼、悪魔の翼を装備する事をやめ、ツガルの背部ユニット、レインディアアームドユニット・タイプγに差し替えてあった。起動性能が落ちた分は、鎧の各所にスラスターを増設して補っている。 まるで武者なんとかみたいな有様ではあるが、そこにはある種の洗練されたまとまりが感じられた。 「索敵と援護射撃は任せて欲しいのですよぉ♪」 ゲーム開始直後、焔に自信満々でそう言ったティキは、その言葉を証明して有り余るほどの働きを見せる。 高速で移動し、位置をそのつど変えながらも的確に攻撃。その間にも次の敵を正確に察知する。 その援護を受けながら、焔は自身の得物、斬破刀“多々良”を振るい効率よく敵を殲滅していった。 焔もセツナも、正直二人の成長に驚いていた。もちろん焔は自身の中にある海神の残したデータと比べて、ではあるが。 わずか二月の間に性能任せの力押しはなりを潜め、的確な状況判断の下に行動する姿がそこにはある。 それでも武装は多分に趣味的ではあるのだが。 目の前の敵は、ティキの援護の甲斐もあってか一刀の下に両断された。 焔は初めて実感として経験するティキとの協力プレイに、今まで神姫相手に感じた事の無い頼もしさを得る。 「?」 神姫相手に始めて感じる感情。でもその感情そのものは、決して初めてのものではない。 それに思い至り、焔はしばし動きを止める。 「うに? 焔ちゃんどうかしたのですかぁ?」 不意に動きを止めたパートナーにティキは声をかける。 「あ、あぁ。大丈夫……」 ごく普通の、相手を気遣った当然過ぎるやり取り。 当たり前の反応で、当たり前すぎる行動。 お互いに信頼しあう間柄で交わされる、他愛も無いもの。 だけど だけど……? 『結城さん』 セツナにのみ届けられる雪那の声。インカムを通した、極めてパーソナルな通信。焔にも、ティキにもその声は届いていない。 「……何?」 ゲームが終了した訳でもなく、実際にまだお互いの神姫は他の敵と戦っているが、この調子ならしばらく指示を出す必要もなさそうだった。 実は雪那は最初からこのタイミングを狙っていた。焔やティキに話を聞かれない時機を窺っていたのだ。 『いや、僕で結城さんの力になれるのかな、って』 あまり頼りになりそうには聞こえない、弱気な口調。 セツナは少しだけ逡巡する。 そして少しだけの決意をこめて、言葉を紡ぐ。 「うん、ありがとう。……唐突なんだけど、実はもう海神はいないの」 『…………』 インカムの向こうで、息を呑む音。 「それで、新しく焔を起動したんだけど、私あの娘にどう接して良いのかわからなくて、ね」 『……うん』 「別に、海神の代わりにあの娘を起動させた訳じゃないわ。言い訳に聞こえるかもしれないけど」 わだかまっていた感情が、決壊しそうになるのを感じる。 頭の隅にいる冷静な自分が「無様」と言っている。けど、感情が迸るのを止められない。 「ねえ、私があの娘を好きな様には、あの娘は感じてくれないのかな?」 普段とは違う、少し幼い口調。 「私、焔に嫌われてるのかな?」 声に湿り気が混じる。 常識は「神姫がオーナーを嫌う事はありえない」と告げる。が、焔はあの海神のCSCをそのまま使っているのだ。ならば焔が「オーナーに対して好意的な関係を望む」とは限らない。 海神とは、そういう存在だった。 だから だから……? だけど自分はご主人にその当たり前をしていたのか? だから自分は焔を常に信じ切れなかったのか? ただ決め付けて ただ望みすぎて 本当の意味で、自分の事だけしか思いやれずに 私は ワタシは 『きっと色々思い出して、考えたらそんな事無いってわかるはずですよ』 インカムを通して聞こえる優しい声。 『嫌っている相手のために何かを頑張るなんて事は、人間だって神姫だって出来っこないんですよ? だったら、焔も結城さんも、お互い好き合っているに決まってます!』 そうだ。焔が何で海神のデータを欲しがったのか。 それは焔自身の為ではなかったのだと、セツナはようやく思い至った。 きっとそれは私の為。 「あ……」 「? やっぱりどこか怪我でもしたですかぁ!?」 ようやく焔は思い至る。 「違う。そうじゃない」 ワタシに海神のデータを入れることになんであれだけ躊躇したのか。 それは焔が海神では無いから。焔は焔でしかない。焔にしかなれない。 だからセツナが見せたあの躊躇は、海神の為ではなかった。 それはきっと焔の為。 「本当に、嫌われて無いかな?」 答えは見つかったのに、わざと甘えるように聞く。 自分以外の誰かに、口にして欲しくて。 『当たり前です。こういう言い方は失礼なんですけど、二人とも相手を気遣いすぎなんですよ。……不器用すぎです』 雪那は笑う。 その笑い声も耳に心地よい。 『だから結城さんはいつかのゲームのときに海神に見せた、あの誇らしげな顔で焔を迎えるだけで良いんです』 私はその時どんな顔を彼に見せていたのだろう。 初めて雪那と出会った時の事を思い出しても、うまく思い返すことは出来ない。 『海神の事、信頼していたんでしょ? そして焔の事も信じたいんでしょ? なら考えすぎないで、感じたままに接すれば良いんですよ』 言われて初めて自覚する。 私は海神をパートナーとして信頼を寄せていたんだ…… セツナの目には一筋の涙。 焔、ごめんなさい。私は海神をちゃんと大切に思っていた。 次いでもう一方の目からも涙が零れる。 そして焔。私、貴女の事も負けないくらいに大切に思ってる。 友人として新たな関係を築かねばと、そこに囚われすぎていた。本当はそんな事を深く考える必要など無かった。 「いきなりで申し訳ないが、ティキ。ワタシは焔以外の誰かになれるだろうか?」 振り返り、焔は真っ直ぐティキの目を見る。 「? 焔ちゃんは焔ちゃんなのですよぉ? 焔ちゃん以外の誰かになんて、なっても意味が無いのですよぉ~♪」 意味が解らないながらも、ティキははっきりと答える。 「ティキはそう思うのですよぉ♪ それに……」 ティキは少しだけ間を開ける。 「海神ちゃんも、そう言ってたのですぅ☆」 焔の内に海神の『記録』はあっても『記憶』は存在しない。だから、その『記憶』は焔の中には存在しない。 だが だが、海神がそう言ったのであれば、それはセツナの意思と同じなので、それは焔の中にも受け継がれているのではないのか。 思い至り、そして焔は思い出す。 『正式名称の方はただの飾りだから』 その言葉は一番初めにセツナが言った言葉。 それは何よりも焔が海神とは違う存在だと宣言していた。 セツナが焔に望む事。それは焔が焔でいるという事だった。 「は……ははは。ワタシはただの飾りに振り回されていたのか」 到ってみればその答えはあまりにも単純で。 ゲームの最中だと言うのに焔は声を上げて笑った。 最初から、セツナと焔はお互いを思いやり、大切に思っていた。 そして、だから、どうしても、どうしようもなく、すれ違ってしまった。 絆は初めから判りやすい位に堂々と存在していたのに。 「『ありがとう』」 セツナは雪那に 焔はティキに その同じ刹那に同じ言葉を送る。 雪那は照れたように笑い ティキは満面の笑みを浮かべて 『『まだゲームは終わって無いですよ』ぉ♪』 「そうね」 『その通りだ』 そう、まだゲームは終わっていない。 『敵機確認したですよぉ~♪』 そういうなりティキは再び空へと舞い上がる。 そのティキを確認することなく、焔は迎撃体勢に移った。 セツナと焔はやっとスタートラインに立つ。ゲームは、これから。 トップ / 戻る / 続く
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第一話「くまさん」 午後7時ごろ 「ただいま~」 「あ、おかえり。形人」 全身で器用にコントローラを操作し、エースコンバットゼロをプレイしていた鳥子がこちらを見る 「今回はおみやげ付きだぞ」 「お母さんに買ってもらったんでしょ?、サイフ置きっぱなしだもん」 「ぐ・・・。あのなヒカル、小遣いが安い一高校生の僕にどうしろと」 言っておくが、月の小遣いがたったの3000円だ。 「100円でしょそれ?ダイソーの袋だよ、それ」 以前買った食玩のF-14の尾翼を弄りながら鳥子―ヒカル―は言う よく見ているな、おい 「それよりも、ホレ」 そう言いながら袋の中身を差し出す それはクマのキーホルダーだった。 神姫と比べると人間換算で一メートルはある 「!? ・・・くまさん?」 可愛らしい反応するじゃないかヒカル。普段の戦闘機バカはどこにいった? 「貴方に言われたくありません!エリパチファン!」 「んー?いつぞや寝言で「神田さん好きです」って言ってた神田ラヴァーはどこのどいつかなぁ!?」 「!!?そ、そんなこと言ってたんですかっ!?」 あ~顔真っ赤にしてまぁ… 反則的に可愛いじゃないかコンチクショウ 「…あ、すまない…言い過ぎた」 「……」 黙っちゃった…どうしよう 「形人~!ご飯できたよ~」 あ、メシか、早くしないと怒られる… 「ヒカル、本当にすまない。明日はやて(マウンテンバイク)とばして着れそうな服買ってくるから…」 「……」 ヒカルは黙り込んだままだった 母がうるさいのでやむなく一階に下りていった ――三時間後 「あー・・・肉の後にスプラッタ描写のある映画を観るもんじゃないな・・・」 部屋に戻ると、ヒカルの寝息が聞こえてきた 「寝ちゃったのか・・」 すまないと思いつつ、机を見ると一枚のB5用紙が置いてあった 『くまさんのキーホルダー、ありがとう。あと服、楽しみにしてる』 描画用の2Bシャープペンで書かれた少し汚い文字 ふと見ると、ヒカルはクマのキーホルダーを抱いて眠っていた 起こさないようにクレイドルに運び、タオルをかけてやる 「おやすみ…ヒカル…」 エリア88第二話のセリフを流用しつつ、デスクトップの電源を点ける 夜は始まったばかりである。 おまけ 「何でタマネギばっかり?」 「タマネギは色々使えるだろ」 玉葱ばっかり野菜室に入ってるウチの冷蔵庫(実話) 次回予告 ヒカルが一日中寝ている間に、形人はダイソーまで行っていた。 そこで買ってきた物って、何? 次回「服」…ってまんまじゃん(N:形人) 武装神姫でいこう!?に戻る トップページ
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「まだ終わりませんよ。姉さん!」 光の刃が生まれたぺネトレート・烈「ぺネトレートセイバー」を携え姉さんを見据える。 痛みなんか関係ない。全力をもって姉さんと戦う 姉さんは歩みを止め、こちらを感心そうに見る。 「……ほう。まだ立ち上がれるか。そしてそれはオリジナルとみえる。そんな武装を出したぐらいで勝てるのかな」 「やってみなくてはわかりません」 私はリアパーツ、バリスティックブレイズをパージする。 もうこれは使い物にならない。ここからは真っ向からのぶつかり合い。 姉さんも大剣を正眼に構えて、迎え撃つつもりだ。 「はぁっ!」 私は姉さんの元まで疾走し、ぺネトレートセイバーを構えて右横から薙ぐ。 それはもちろん大剣で防がれる。 そうなるのはわかってた。 姉さんは私が今度は右の剣で攻撃した後は左の剣で突きに来ると思ってる。 姉妹だからわかる。断言してもいい。 だけど、それは姉さんの驕り。そしてそれは私への油断。 「こんどはそちらが……甘いです!!」 右の剣が防がれ、捌かれた勢いのまま一歩踏み込む。私は上半身を捻り右足を軸にして、回転。 左足で後ろ回し蹴りを姉さんのわき腹に放つ。 姉さんは私の予想通りに大剣は突きを備えてて、腹部は隙だらけだった。 「……くぁ!?」 直撃を腹にもらい、おもわず苦痛の声を上げる姉さん。 それでもまだ終わらない。 わき腹に当てた足を下ろし、今度は本気で左手のぺネトレートセイバーでフェンシングのように刺しにいく。 もちろん衝撃を与えたその腹部にだ。 だが、それは姉さんの左腕で真横から強く払われた。 それによって肘から先の腕周りが半分切られ、左腕はもう使えなくなったかもしれない。 ぺネトレートセイバーの鋭い切れ味を無視した捨て身の捌き。 それでお互い、間合いを空ける。 私のダメージよりか少ないが、左腕を使えなくさせた。 これで姉さんにも深い傷を与えることができた。 「……つぅ……これほどの深手を負うのは久しぶりだ。……強くなったんだな」 「私は逃げた先で大切な人に出会いました。そのおかげで姉さんたちの前に舞い戻って来れた。これが私の……いえ、私たちの強さの源です」 「……そうか、当然だな。こちらはその大切な人にはなれなかったわけだから。……“シオン”」 「わ、私の名前を……」 初めて姉さんに名前を呼ばれた。 認めてもらえて、今は敵同士なのになぜか嬉しくなってしまった。 「……全力でいくぞ」 「はい。こちらもそのつもりです!」 私と姉さん、両者身構える。 こちらはナックルから進化した双剣を。あちらは片手に大剣を持って。 姉さんは片手でも大剣を軽々と扱えることができる。ここからも油断は一切できない。 好敵手と認めてもらった。これでもう姉さんも私への驕りはないだろう。 そして、どちらからともなくピクリと動き、駆け出す。 「はぁっ!」 「……つぁっ!」 姉さんは片手上段から振り下ろし。 私はぺネトレートセイバーを交差させて、それを防ぐ。 数分は致命傷にならないような傷が全身に負うほどの斬り合いが続く。 袈裟斬り、逆袈裟、振り下ろし、振り上げ、双剣での連続の斬撃。 数え切れないほどの何度目かの斬り合いでガンッと轟かせ、剣が交りあった箇所から火花が飛び散る。 「くぅっっ!」 「……ぐぅっっ!」 同じように声を出し、二人とも歯を食い縛らせている。 こちらは両手。姉さんは片手なのに鍔迫り合いが拮抗している。 どれだけ、姉さんは馬鹿力なのか。 場違いにも私は頭の中でほとほと呆れてくる。 そして、私たち姉妹はまた同時に、鍔迫り合い状態からどちらも剣を離した。 一旦離れ、姉さんは大剣を横に倒して、そこから踏み出し思いっきり薙いでくる。 私は迎え打つ為にぺネトレートセイバーを重ね合わせ、大剣自体を真っ二つにする気で、こちらも思いっきり叩き斬る態勢で。 「……これで、終われぇぇーー!!」 「根性ォ!!!!」 鋭い剣閃の音の後、重い打撃のような鈍い音に変わった。 そのまた数瞬後。 私たちのいる頭上でヒュンヒュンと壊れたプロペラのような音が続く。 「……相打ちか」 「そうですね」 二振りの剣と赤い大きな大剣が地面に刺さった。 ぺネトレートの光刃はふっと消えてナックルに戻って落ちた。 そして、私たちはどちらからともなく倒れる。 動かない。動けない。 姉さんも私も。 もう体が…………。 ―――― 「シオン! 起きろ。目を開けろ」 僕が命令も出せず茫然と見ていて、もう10分ぐらいは経ったか。 気付いたら二人は倒れていた。 シオンはあの危機的状況から、ぺネトレートクロー・烈の力を発現させて、イスカを追い込んだ。 でも、どちらも力を使い果たしたのか、ピクリとも動かない。 「立って! シオン!」 「イスカ、立てー!」 「シオン、負けるなー!」「どちらも起きてくれー!」 見渡せばいつの間にか、周りからは熱いバトルを魅せられて、ちらほらと観客から応援の声が交っていた。 ほら、こんなにもの人たちが声を出しているんだから、聞こえているなら立ってくれ。 ……シオン! 筐体の画面を見れば起きあがる神姫の姿が。 観客からは、オオォッ! と驚きの声が上がっている。 声から察するにどちらかが起き上がったみたいだ。 それはどっちだ。どっちなんだ。 目が涙で濡れていて前がよく見えない。 クソッ。 拭っても拭っても後から出てくる。 確認しなきゃいけないのに。 「はい、ハンカチ」 「あ、どうも」 と、横から優しく声をかけられて手にハンカチを持たせてくれた。 それで目元を拭う。 「すいません。お見苦しいところを……て……、あ」 ハンカチを貸してくれた優しい声の主は宮本さんだった。 僕は突然気恥しくなった。 ハンカチは洗ってから返そうと思い、宮本さんにそう伝えようとするが。 「いいわよ、それあげる。言い方がものすごく悪いけど残念賞ってところね……あれ」 「え」 宮本さんが促した目線の先。 見えるようになった僕が筐体画面を見つめれば道の真ん中には――肩で呼吸をしているイスカが立ちあがっていた。 そして傍らの倒れているシオンはモザイク状になって消えていった。 遅れて聞こえるジャッジの機械音声。 『WINNER イスカ』 ―――― 「すいません、螢斗さん。負けてしまいました。……あはは」 「シオン……」 シオンは笑いながらもそう言った。 でもそれは仮初めの笑顔。 僕にはそれがわかってる。 「よく頑張った。シオンは頑張ったんだから。無理はしないで。……こういう時はおもいっきり泣いた方がいいよ」 シオンの頭を撫でる。 次第にシオンは俯いてきて。 「……だって私は……螢斗さんの武装……神姫なんですから……負けたぐらいで泣くわけ…………ヒック……う……うああああーーーあーーーー」 「よしよし……」 泣きじゃくって大粒の涙を流し張り裂けそうなほどの声を上げるシオン。 僕はそれを、シオンを子どもをあやすように、背中に指を優しく当て続ける。 ついでに僕も涙を流しながら。 神姫の尋常じゃない程の泣き声しか聞こえなくなったゲームセンター。 周りにいた人たちもこの空気に騒ぐ気はなくなったのか、不気味なほどの静けさが店内を包み込んでいた。 宮本さんはこの空気の中を普通に歩きだし、自分のついていたブースのアクセスポッドから、イスカを連れ出して持ってきた。 「ほら、イスカ」 「…………」 宮本さんは涙をこぼしているシオンの前にイスカを置く。 バイザーを外した真っ赤な瞳をさらけ出したイスカだ。 それでも無表情のままのイスカ。 「シオン、こっちも」 「グス……はい……」 シオンはなんとか目から溢れ出る涙を留まらせ、手の甲ですべて拭ってから、イスカの前へ歩み出る。 そして見つめ合うシオンとイスカ。 「……ん」 突然、イスカはぶっきらぼうに音だけの声を出し右腕を動かした。 それは不器用そうに右手を軽く開きシオンに差し出している。 これは握手でいいんだよね? 僕はそう思った。しかし、それを見たシオンは。 「ウゥ……お姉ぇちゃ~~ん……うわぁああああああああ!」 「……おい、ちょっと!?」 感極まったシオンは引っ込ませた涙腺をまたもや崩壊させて、握手のポーズを無視し、イスカの胸に抱きつき号泣をする。 それで、イスカは無表情な顔を見たことも無いほど驚き戸惑った顔に変化させた。 抱きつかれ固まっていたイスカだが、やがてシオンの頭に手をやった。 「……ふ、まったく、泣き虫な妹め」 「ぁああああああああ……お姉ちゃん、お姉ちゃーん!」 毒づきながらも、シオンは姉らしい穏やかな笑みを浮かべて、シオンを抱きしめ返した。 両腕で優しく。 バトルは勝てはしなかったけど、イスカのあの笑顔を見てたら、姉妹でいがみ合う事はもうないなと僕は思えた。 こうして永遠とも思われた、戦えない、いや戦えなかった武装神姫シオンの。 家族の絆を取り戻す戦いは終わったんだ。 長かった全てが終わった。 前へ 最後へ
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少しづつ暖かい風が吹き始め、街路樹も少しづつ別の色を枝先に宿し始めている。 「次はあかばね~。次はあかばね~。・・・・・・next station is akabane」 次の到着駅を伝えるアナウンスが車内に流れる。電車はあと20分そこそこで目的地に到着する。 外は見る限り無機質なビル群ばかり。そんな電車で一人の青年が座り目的地への到着を待っている。 テレビ番組の気象情報では気象予報士が花粉飛散情報をバックに「今年の花粉の飛散量は平年並みと予想されます。」と が毎年恒例の花粉情報を流している。そんな春先にはよくあるような光景。 (河野家にて) 「あわわわわわ・・・・早くしないと早くしないと。」 あわてた様子でアーンヴァルmk.2型神姫アテナがテーブル上でそれぞれの場所にフォークを運んでいる。 「少しは落ち着きなさいアテナ。メールと手紙にも書いてあったでしょう。電車の到着まではまた余裕はあるのよ。」 「そのとおりだ。あんまりあわててまた取り返しのつかない失敗するようでは、マスターが用意したせっかくの料理を台無しにすることになるぞ。」 フォークを運んでいたフブキ型の神姫与一とスプーンを運んでいたストラーフmk.2型神姫キュベレーがそろってアテナと呼ばれた神姫をさとす。 アテナは依然同じような状況でつまづき顔面直撃を避けようと目の前に出てきた皿を体重をかけて両手で押してしまい、てこの原理で皿の中身をまいてしまったことがあるのだ。 すると、さっきまで駆け回っていたアテナはとたんに蝋燭のようにびたっと止まり、ネジのきれそうな人形のようにぎこちなく動き出す。 「まったくアテナは全然成長していない。このぐらいのこともいまだに満足にできないようでは、義弘様はなんというか。」 「キュベレーも、いちいちアテナに突っかかるのはやめなさい。」 「与一姉(ねぇ)。私はアテナと違い受け持ちは終わっている。」 「終わったのなら、私と一緒にアテナを手伝うのよ。」 皮肉ばかりのキュベレーを与一は引きずるように連れて行く。 キュベレーのアテナいじりは今に始まったことではないが、マスターが変わってからというもの、そのやり方が少しきつくなってきているような気がする。 誇り高きストラーフ型ゆえのことなのか。今はアテナは自分のことに集中しているからいいが、いつもはけんかに発展している。今の与一の悩みの種だった。 配置がようやく終わって、しばらくあと、台所からサンドイッチ満載の大皿を両手にもった青年河野隆明がエプロン姿で現れる。 「3人ともお疲れ様。」 最初は全部自分で用意するつもりでいたが、「できることだけでも。」と3人に半ば拝み倒されるような形で、卓上のセッティングを手伝ってもらったのだ。 「いいえ、これ位のこと。ほとんどのことをマスターにやっていただいて。」 「はい。アテナ頑張りました。」 「あたし達のかかればこれぐらい簡単なことだ。」 「うん。ありがとう。」 三者三様の返事に隆明も笑顔とともに礼をで返す。 「時間的にそろそろだと思うんだけど。」 壁掛けの時計を見ながら隆明は時間を確認する。今日の主賓は時間に正確に行動する人物であることを隆明は子どものころから知っている。 「ピンポーン」 はかったかのようにインターホンが鳴り、住居内に来客があったことを伝える。 「噂をすればだ。はーい。」 一人と三体が玄関を開けたその先には。 「わりぃ。遅くなっちまった。」 「ごめんですぅ~。」 ガクッと全員が崩れる。そこにいたのはマオチャオ型の神姫たま子を肩に乗せた大柄な青年。大木戸甚平だった。 「なんだ甚平かぁ」 「何だとは何だ。準備には確かに遅れはしたが、折角主賓と来たというのに。」 「そうですぅ。そこでばったりあっちゃったんです~。」 そう言って。半分に明けれれ多ドアを全開にしたそこに立っていたのは。 「ただいま。隆明。少し背が伸びたかな。」 「そして与一、アテナ、キュベレー、久しぶりだ。その様子だとみんな元気そうでよかった。」 スーツ姿に身を包んだ青年。加藤義弘がたっていた。 少し恥ずかしそうに隆明は鼻をかきながら 「そうかな。とにかくお帰りなさい。」 「義弘様こそお元気な様子で何よりです。」 「おかえりなさい。義弘様♪」 「久方ぶりです。義弘様。」 3人の神姫たちは長く不在だったのがウソのようにそれぞれの笑みで出迎える。 春先のある日加藤義弘は半年ぶりに帰還した。これによりいくつかの神姫たちの物語が始まる。 製作後記 まずは別れていた元のマスターが戻ってくるところを描きました。これから日常的なことや、その中でその他の設定について 少しづつ描写と公開していこうと思います。 つたない文章でありますし、このような駄文を読んでいただいた方心から感謝です。 主要なキャラ以外の登場人物・神姫に関しまして、「BATTLE MASTERS」の神姫やキャラを出していきます。ほとんどが一回きりのキャラの予定なのですが、 複数回登場(準レギュラー)予定のキャラなどは後々登場人物・神姫の項目を作成し掲載していく予定です。 前から更新遅いのが悩みの種です。精一杯努力しますが、温かく見守っていただけると幸いです。 最後に今年の風はひどいですよ。これを掲載する前日まで完全ダウンしていました。今も抜けきらず、ひどい頭痛に悩まされています。 皆さんも身体に十分気を付けてください。